日本産婦人科学会から、2014年に国内で行われた体外受精(顕微授精を含む)により過去最多の47,322人の新生児が誕生したと報告された。つまり、新たに生まれた子供の約21人に1人が体外受精で出生したこととなり、この子供たちが学校に上がる頃には1クラスにつき、体外受精児が2人近くいることとなる。 このように近年急増し、保険給付対象*ともなった体外受精について解説していきたい。 1|妊娠の成立と不妊症 女性の体は初潮を迎えてから排卵と月経を繰り返しながら、妊娠に備えている。 まず、大脳の下に位置する脳下垂体と呼ばれる内分泌器官からのホルモンの刺激により、卵巣から卵子が排出される。 排卵された卵子は、卵管の先にある広がった入り口である卵管采から卵管に取り込まれ、その少し奥にある卵管膨大部という場所で受精に備える。 性交渉によって膣内に射出されたパートナーの精子は子宮の入り口にあたる子宮頸管という