人間は、バカだなあと思う。 空に星があることを忘れているんだね。 相対性理論によれば、星がどんなに遠くに あっても、光がそこから私に届く間、 固有時は経過しない。 だから、星はぼくらとつながって いるんだよ。 相互作用同時性の原理によれば、 因果性を担う世界線に沿って、固有時は 経過しない。 それが、私たちの意識の根源でもある。 だから、何光年も先の星も、 ぼくたちの意識の一部である可能性は あるんだ。 そんなことを忘れてしまって、 ふだんどうでもいいことに血眼に なっているぼくらは、よほど愚かだな。 愚かさにつける薬はあるのだろうか。 南十字星を追いかけようと思って、 ずっと歩いていったが、 夜空に浮かぶその姿は ちっとも大きくなりはしなかった。