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ブックマーク / kenmogi.cocolog-nifty.com (23)

  • 茂木健一郎 クオリア日記: スーパーハッカー田森佳秀くんは、いかにしてプログラムを習得したのか。

    「もうこれで打ち止めだろう」と思っても、まだまだその先に、「えっ!」というようなおもしろ話が埋まっている、「人間要石」(「要石」は鹿島神宮にある石で、小さな丸い石ころのように見えるが、かつて水戸光圀が掘らせたらどんどん大きくなって三日三晩かかっても掘りきれずに諦めたという伝説の石。オオナマズを押さえているのだとも言われる)の田森佳秀くんのおもしろ話は続く。 仕事を終えて、翌日のお昼に、金沢のおいしいお寿司屋さん「弥助」でべていて、ふと、学生時代のバイトの話になった。 田森くんは、東北大学にいたころ、仙台駅から、ビルの中にある企業を片っ端から訪問して、「あの、プログラムを書く仕事はありませんか」と200軒くらい聞き回って、やっと一箇所仕事をくれるところがあって、それが学生バイトとしてはかなり実入りがよかった、という話は聞いたことがある。 学部学生が、いきなり飛び込みで「プログラム書かせてく

    nobyuki
    nobyuki 2013/04/06
  • 茂木健一郎 クオリア日記: ○○は脳に良いですか?

    (以前にこのブログに二回に渡って書いた文章をまとめ、また若干の補足をしてあります。○○は脳に良いですか? という問いに興味がある方、そのような質問をされて答えを探している方は、ご参照ください。) いろいろな方とお話していて、良く聞かれるのが、「○○は脳に良いですか?」という質問である。 ○○をべるのは脳に良いですか? 朝○○をするのは脳に良いですか? メディアの中で、「○○は脳に良い」という言い方がしばしば見受けられるので、一つの思考の型として流布しているのだろうと思われる。しかし、科学的には、「○○は脳に良い」という言明には、あまり意味があるとは言えない。 だから、私は、このような質問をされると、一瞬絶句して、それからどのように答えようかと、一生懸命言葉を探す。 なぜ、科学的には、「○○は脳に良い」という言い方をしないのか。きちんと説明をする必要があるように思う。 「○○が脳に良い」と

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    nobyuki 2012/01/30
  • 茂木健一郎 クオリア日記: Tanzen。踊ること。ただ、目の前のことに没入し、全力を尽くすこと。

    地震が起こって以来、他のことを何も考えられずに、だから、自分にできることは何だろうと思って、あれは一週間後くらいのことだったか、思い立って、英語で、今回の体験を綴っておこうと思った。 できればにしたいと思っている。The Quake Days (仮称)。一部は、英語のブログQualia Journalに掲載している。 津波の甚大の被害。言葉もない。地震以降のことは、すべて、とても気の重いことで、原子力発電所のことなど、日のシステム、統治機構そのものの見直しが必要で、要するに、日人のこれまでのマインドセットを根から自省し、場合によっては作り替えなければならない。 それは、簡単にはできないことだ。 私たちの困難は、しばらくは続く。日全体が風評被害をも受ける。こんな時は、どうしても気が重くなる。そんな時に、助けになってくれたのは、「踊る」ということだった。 ニーチェのTanzenという

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    nobyuki 2011/09/15
  • 茂木健一郎 クオリア日記: バカになればいい。賢くなればいい。バカになることと、賢くなることは、きっと同じなのだ。そこに生命の運動がある限り。人間である限り。

    バカになればいい。賢くなればいい。バカになることと、賢くなることは、きっと同じなのだ。そこに生命の運動がある限り。人間である限り。 先日、夏目房之介さんと対談したとき、興味深いやりとりがあった。周知のように、漱石は凄まじいまでの秀才。それが、留学先のロンドンで精神を病んで、日に帰り、ふとしたきっかけで書いた『吾輩はである』で開放された。小説を書くというたのしみに目覚めた。 それからの漱石の人生は、いうなれば、いかにバカになっていくかということだった。そうじゃないと、人間の苦しみや、悩みや、存在することのやり切れなさなど書けない。学問の塔に籠もっていては、小説に魂を入れることができない。 ステキだな、バカになるということ。 そしたら、房之介さんがいたずらっぽく言った。ぼくは、マンガが好きで、マンガばかり書いていて、大秀才だった漱石とはまったく逆のスタート地点だけど、それを突きつめたら、マ

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    nobyuki 2011/09/15
  • 茂木健一郎 連続ツイート: 連続ツイート プロフェッショナル 池上高志

    しゅりんくっ! 昨日は久しぶりに池上高志(@alltbl)と話して楽しかった。 前、当に小学生みたいだったなあ。若いよ! どんどん小学生になってる! @alltbl 昨日の朝カル、ありがとうございました。あれだけ自由自在に楽しく話せたら、誰でも茂木と対談したくなるよね。 プ池(1)(黒ポン)「生命の秘密を解き明かす」。東京大学駒場キャンパス。急ぎ足で歩くその男が、背広を着ることはない。夏ならアロハシャツにジーンズ。その軽快な風貌から飛び出す言葉は、マシンガンのように鋭い。 プ池(2)その男の名前は、池上高志。今、世界中が注目する複雑系の研究者だ。その眼差しが目指しているのは、たった一つのこと。「生命の秘密の解明」(ON)「人間、何歳になっても遊ぶことを忘れたらおしまいですよ。」 プ池(3)(黒地で)「プロフェショナル 仕事の流儀 extra」池上高志。最も東大教授らしくない東大教授と言わ

  • 茂木健一郎 クオリア日記: プラグマティズム

    シンガポール国立大学とのプロジェクトに関する会議のため、この地を訪れている。 一人あたりのGDPで、すでに日を抜いたというシンガポール。ITの使い方や、合理的な移民政策、意思決定の速さ、英語の浸透ぶりなど、もはや視点によっては日よりも「先進国」であり、何かを教えてもらいたいという気分になる。 夜、プロジェクトにかかわるエイドリアン(Adrian Cheok)、稲蔭正彦さん、それに新しいラボを立ち上げつつあるイリヤ・ファーバーと飲んだ。日から、佐々木厚さんと関根崇泰くんも参加。ぼくのツイッターを見て、稲富寛明さんと藤井大子さんも飛び入りで加わった。 クラーク・キーを渡る夜風が気持ちいい。イリヤのいう「正真正銘のメキシコ料理」を味わいながら、科学のこと、世界のこと、人生のことをたっぷり話した。 イリヤが、途中で、「プラグマティズム」の話をした。その時のことを記しておこうと思う。 ぼくは、

  • 茂木健一郎 クオリア日記: 当事者として

    当事者として 真剣に仕事をしようとしていたら、内田樹さんのツイッター上のつぶやきがタイムライン上に出現し、手が止まってしまった。 http://twitter.com/levinassien 「アルテスの鈴木くんが「怖い」話を紹介してくれていたので、読んですっかり考え込んでしまいました。その結論は・・・http://blog.tatsuru.com/というわけで、アルテスのもいつ出るかわからなくなりました。バブルがこわいよう。」 リンク先の内田樹さんのブログには、ブックファースト店長の遠藤さんのこのようなコメントを含む記事が引用されていた。 (「一個人」サイトより、「ブックファースト・遠藤店長の心に残った」というコラム) http://www.ikkojin.net/blog/blog6/post-2.html _____ 池上彰「伝える力」 [2010年8月12日] いま書店界で一番

  • 茂木健一郎 クオリア日記: 日本の大学のガラパゴス化

    最近、さまざまな大学では、「就職」への対応を売り物にしているのだという。大学三年の秋から就職活動が始まるという日の企業の「慣行」に合わせて、一年生の時からキャリア教育をするのだという。 このような風潮は、二重三重に間違っていて、最終的には日の国益を損すると私は考える。 日の大学が、日の企業の予備校化するということは、日の大学のガラパゴス化をますます加速化させる。現状でも、日の大学は、日で生まれ、日語を母国語とする学生しかほとんど志望しない「日でしか通用しない商品」となっている。日の企業への就職の予備校となることは、つまりは、日の大学が日の企業に就職することに興味がある人以外には、進学することを検討するに価しない存在になることを意味する。 日の大学で学ぶ学生たちにとっても、就職予備校化は長い目で見れば致命的な欠陥となりうる。なぜならば、大学で身につけるスキルが日

  • 茂木健一郎 クオリア日記: もぐら叩きの立場は案外気楽だが、一つひとつの穴から首を出すもぐらは、大変だ。

    人間というものは、一度には一カ所にしかいることはできない。 もぐら叩きの立場は案外気楽だが、一つひとつの穴から首を出すもぐらは、大変だ。 人間として生きる上で一番大切なことは、自分の身体、存在の有限性を認識し、それを引き受けることだろう。 このところの、日の新聞の普天間基地をめぐる報道を見ていると、そんなことを思わずにはいられない。 鳩山由紀夫さんのこの件をめぐる発言や政策決定が、ベストなものだったとは思わない。 しかし、批判をするだけの新聞各紙が、日の社会のためによいことをしてきたとも思わない。 ある案が出てきた時に、影響を受ける地元の方々が反対を表明することは、当然のことである。 どのような案を出しても、必ず誰かが影響を受け、負担を強いられる。普天間基地の移転はそのような性質の問題である。 このような問題について、対案を出さずに、ただ批判するだけの新聞には、共感することはできない。

  • 茂木健一郎 クオリア日記: 野生の英語

    内田樹さんが、ブログで、英語について興味深いことを書かれている。 http://blog.tatsuru.com/2010/05/12_1857.php 言語がすぐれて政治的なものであるという認識こそ、日英語学習に必要な視点の一つではないだろうか? 「政治的」ということを言い換えれば、自分の人生英語がどのようにかかわるかを、他者との交渉において設計していくということだろう。 私が日人の英語学習について提案したいことは、一言、「野生の英語」をやろうぜ、ということに尽きる。 私は学校英語は得意で、いわゆる「英語学習」も好きだった。英検1級や、国連英検特A級などをとった。TOEFLというのも受けたことがある。 しかし、そのあたりで、いわゆる「検定英語」のような世界から急速に離れてしまった。 今は、TOEICというのが流行りらしい。問題文を見る限り、あまり興味を持てそうもない。 なぜ、検定

    nobyuki
    nobyuki 2010/05/15
    "自分が興味を持ったことに全身でぶつかっていく、野生の英語。  日本人の英語を、人工的な受験英語、検定英語の世界から解きはなったら、本当に面白いことになるだろう。"
  • 茂木健一郎 クオリア日記: アメリカの大学の入試制度について

    このところ、アメリカの大学の入試制度について、いろいろ面白いことというか、知らなかったことを知るに至った。 TEDx TokyoをオーガナイズしているPartick Newellから聞いた話は、Harvard大学の入試について。 東京に住むパトリックの友人は、日の高校生の志願者をいろいろとインタビューし、ハーバードに合格させる権限を持っているのだという。 その彼が、残念ながら日の高校生にはハーバードが求めるような(英語で)自分の考えを述べて、議論できるような人がいなくて、ごく少数しか合格させられないのだと嘆いているのだという。 そして昨日。TEDx Tokyoの会場で、Azby Brownに会った。金沢工業大学で、田森佳秀の同僚だという。 AzbyはYale大学の卒業生で、Azbyもまた、日の志願者をインタビューし、Yaleにレポートを送って合格させる仕事をしている。 そのAzbyが

  • 茂木健一郎 クオリア日記: twitterがでてきて、ブログの見え方が変わった。

    あまりにもスパムが多いので、ブログのコメント、トラックバック欄をしばらく前に廃した。おかげで、朝の負担が減って、その分他のactivityができるようになった。時に応じてdecouplingすることの大切さが身にしみた。フィルターのために、スパムにも目を通してパターン認識すること自体が心理的負担となっていたのである。 twitterのRetweet, Replyの特徴は、tweetの直後が多いことで、これは、timelineで流れていってしまうということと関連しているだろう。つまり、twitterは、buzzをつくり出すメディアである。 twitterがでてきて、ブログの見え方が変わった。エントリーの仕方が、少しtwitterに近づいてきたように感じる。 ブログは、うまく変化し、進化しないと、感覚的に時代遅れのメディアになってしまうかもしれない。かつて、メルマガ、メーリングリスト、掲示板

  • 茂木健一郎 クオリア日記: 失敗が、実は巧みな適応である場合

    ゼミ。The Brain Club。五反田のチェゴヤでの昼から始まる。 高野委未さんの修論の発表練習。 高野さんは、英語で修論を書いている。その文章はつながりがあって、粘りがある。素質がある。 高野さんのpowerpointを見ながら、皆でdebuggingをした。 内容についての議論も沸騰して、大いに盛り上がった。 それで、もともとBrain Clubでは高野さんの修論発表と箆伊智充と私による論文紹介(Journal Club)をやる予定だったが、箆伊が論文紹介をして時間切れになって、私は研究所を出なければならなかった。 普通ならば、次回のゼミに回すのだろうが、私は性分として今回やろうとしていたことを持ち越すことができないので、どんなことを喋ろうとしていたかをここで書いて、次回はまた別の論文をやることにする。 ゼミ参加者は、以下を参照して、後は自分で論文を読んでね。 取り上げようと思っ

    nobyuki
    nobyuki 2010/01/30
    "このようなcognitive system, learning systemのfailureは、(snip)学習戦略のrobustnessという視点から、むしろ現在のような状態が望ましいのかもしれない。"
  • 「一回性」や「多様性」によって - 茂木健一郎 プロフェッショナル日記

    科学は、ある対象を研究する時に、環境から「切り離して」その属性を明らかにしようとする。実験室の中で閉鎖された容器の中に入れるというのが典型的な例である。そうして、環境との相互作用がある場合にも、その相互作用の内容をあらかじめ実験者がコントロールしようとする。そうすることによって、初めて、研究の対象としているものの性質が明らかになると考えるのである。 脳科学においても、このような研究手法は踏襲されている。被験者の脳を閉鎖的な環境において、その上で相互作用を特定する。何回も繰り返し実験して、再現可能な結果を求める。データを統計検定して、有意な差があるかどうかを探索する。そのようにして、脳科学の論文は書かれている。 しかし、このような伝統的なやり方は、脳が来持っている柔軟な機能の一断面を明らかにするものの、その質には今一つ迫りきれない側面がある。脳は、来オープンでダイナミックなシステムであ

    「一回性」や「多様性」によって - 茂木健一郎 プロフェッショナル日記
  • 茂木健一郎 クオリア日記: いかにして人間をつくるか

    『プロフェッショナル 仕事の流儀』の収録に、香川県の観音寺で定時制高校の先生をされている岡田倫代さんがいらした。 自分に自信が持てない、自己肯定感の低い子どもたちがいるという。「私なんてどうせ」「ぼくなんか」と言う子が多いのだという。そのような子どもたちに、どうやって自己肯定感を持たせるか、それがまず最初の仕事なのだという。 ぼくは思った。自己肯定感がなく生まれてくる人間など、一人もいない。子どもたちは、自分はできる、チャレンジしようという根拠なき自信を持っている。 そんな子どもたちが、小学校、中学校と通ううちに、いつしか「ぼくはダメだ」「私なんて」となっていくとすれば、それは人たちのせいではなく、教育システムの失敗と言えよう。 人間ができれば、勉強は後からついてくると岡田さんは言われる。その通りだろう。やる気さえあれば、勉強するための素材は、もはやインターネット上に無料であふれている。

    nobyuki
    nobyuki 2010/01/30
    "放っておいても自分で勉強し続ける人をつくること","学術情報は、もはや無料でころがっている。問題は、それに向かう人間力である。そして、人間をつくることができるのは、人間だけである。"
  • 人間というものに対する尊敬の念 - 茂木健一郎 プロフェッショナル日記

    『プロフェッショナル 仕事の流儀』でさまざまな方のお話を伺っていて改めて確認したのは、「職業に貴賤の別はない」という古くから言われている「真理」のことである。 世間では、「建前」や「政治的に正しい」発言としては、「職業に貴賎の別はない」というかもしれないが、音のところではどう思っているかあやしい。やっぱり、「偉い」職業と、「それほど偉くない」職業があると思っているのではないか。 私は、もはや、音の部分で、心から、どんな職業にも同じような価値があり、そして同じくらいの奥行き、面白さがあると思えてならない。つまりは、その仕事にかかわる中で脳が成長する、その工夫のありようにおいて、すべての職業は平等であると信じるのである。 世の中にはさまざまな仕事がある。その仕事の中には、工夫をすべきことがたくさんある。そうして、その工夫をしてできるようになっても、さらに先に課題が見えてくる。その過程で、脳

    人間というものに対する尊敬の念 - 茂木健一郎 プロフェッショナル日記
    nobyuki
    nobyuki 2010/01/30
    "脳にとっての学習機会という意味においては、どんな仕事にも同じような深みがあるのであって、そのことをわかった方が、よほど面白い人生を送れるのではないかと思う。"
  • 茂木健一郎 クオリア日記: 白洲スタイル

    白洲信哉著 『白洲スタイル』(飛鳥新社) が発売されています。 白洲信哉の生活スタイル、美意識は どのように形成されたか。 白洲次郎さん、白洲正子さん、小林秀雄さんの エピソードとともに、青年白洲信哉が 次第に自らの道を見つけていく、 その魂の探求の過程が描かれています。 白洲信哉自身の瞠目すべき言葉が散りばめられ た書。 鋭さと愛が同居した時に世界は どれほど清新な顔を見せてくれるか、 改めて認識させられます。 そして、私と白洲信哉の対談も掲載されて います。 この対談は、当事者が言うのも何ですが、 近来の傑作と言って良いのではないでしょうか。 白洲邸で心尽くしの酒肴でもてなされた、 という状況のなせるわざか、 まったく持って、お互いに言いたいことを 自由闊達に言ってしまっている。 「言い過ぎた!」と少し後悔をしていると しても、それは青嵐のごときさわやかな 後悔であります。 この

  • 茂木健一郎 クオリア日記: ぶーんと手を広げて

    二週間くらい前から、有吉伸人さんは 「オレは絶対に泣いてしまうかも しれない」と言っていた。 『プロフェッショナル 仕事の流儀』 でデスクをしてきた河瀬大作さん、柴田周平さん。 お二人が、チーフプロデューサー(CP)に昇進 されて、それぞれ班を離れる。 柴田周平さんは故郷の弘前に近い盛岡放送局に 赴き、番組を制作するとともに盛岡に 配属される若いディレクターたちを 指導する。 河瀬大作さんは、『クローズアップ現代』 の制作に関わる。 柴田さん、河瀬さんとも、若い時から 先輩だった有吉伸人さんと一緒に 歩んできた。 だから、一人立ちしてCPになって いく今、三人の胸には熱い思いが 去来する。 乾杯の音頭は、住吉美紀さん。 話し初めていきなり、住吉さんが 「もうダメ」と号泣する。 それで、みんなびっくりしてしまって、 しんみりして、ぼくの橫で末次徹ディレクター が足下を見つめた。 末次さんは幹

  • 茂木健一郎 クオリア日記: ずっと眠っていらっしゃる

    いつでもどこでも すぐに眠れるというのは 私の特技で、子どもの頃から それで随分助かってきた。 このところは忙しいから、 目が覚めるとすぐに仕事を始め、 すきがあるとまたたく間に 眠ってしまう、というのが 生活のリズムになってしまった。 いろいろなところで眠ってきた。 小学校の時、九州の秀和おじさんが 霧島の高千穂峰につれていって くれた。 夜行列車で小倉を出る。 座席がぽかぽかと温かくて 眠ってしまったが、 山岳経験が豊富なおじさんに、 「座席の下に新聞紙を敷いて寝ると いいよ」と教えてもらった。 それで、言われたように橫になった。 顔のすぐまえにシートがある。 その狭い感じが実に心地よくて、 ぐっすりと眠って目覚めたときは もう車窓から差す日が明るかった。 西鹿児島あたりの風景がなつかしい。 十日町にある ジェームズ・タレルの「光の館」 を訪問した時には、広々とした 廊下で眠った。 ち

  • 茂木健一郎 クオリア日記: 海を見る暇くらいは

    PHP研究所のの取材で、 インドネシアのバリ島に。 『脳を活かす勉強法』、『脳を活かす仕事術』 がおかげさまで好評だったので、 その慰労をかねて、次のの内容の 収録をバリ島でやるように 木南勇二さんが取りはからって 下さったのである。 PHP以外にもたくさん仕事を持ち込んで、 国際的な「カンヅメ」のようなもの。 バリ島に来るのは実に20年ぶりで、 それなりの感慨がある。 入国審査で、バリの係官が かかってきた携帯電話を受けながら スタンプを押していた。 それを見ていた日人のオヤジが、 偉そうに、「仕事の時くらいは電話するのを やめろよ」と言った。 それで、私はアッタマに来て、 「お前の方がうるさいんだよ」 と言ってにらみつけてやった。 偉そうなオヤジは嫌いだ。 バリ島の人の様子を見ていると、 切なくなることがある。 暗がりで、母親に抱かれている 子ども。 オレがあの子だったら、 どう