ウクライナでは、大規模な反政府デモの結果、2月末にヤヌコーヴィチ大統領政権が崩壊した。この反政府デモのきっかけとなったのは、ウクライナ・EU連合協定の署名プロセス停止に関するウクライナ政府決定であった。そのため、EU加盟を求める親欧米派の国民が反政府デモにより親ロシア派大統領を退陣に追い込んだものと一般的に理解されている。連合協定は、共通の価値観に基づき、ウクライナが政治制度を欧州基準に収斂させる政治連合と、相互の関税撤廃やEUの検疫基準導入等を定めた包括度の高いFTA創設による経済統合を主軸としており、ウクライナのEU加盟は規定していない。また、ヤヌコーヴィチ前大統領は、親ロシア色の強いウクライナ東部の出身であるが、ロシアが推進する「関税同盟・統一経済圏」への加盟はかたくなに拒んでおり、完全な親ロシア派ではなかった。しかし、ロシアとの協調から相互に利益を引き出そうとする立場を取ってきてい
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