「愛する人の死」について 私にとって「愛する人の死」と言えば、やはり祖父の死が思い起こされます。祖父は比較的健康で、生涯に渡ってこれと言って大きな病気はしたことがありませんでした。そのため、亡くなる直前まで、通院や入院はほとんどしてこなかったと記憶しています。身体を動かすことが好きで、畑仕事に精を出し、食事はそこで採れた新鮮な野菜をいただくといった生活を送っていました。また、周囲の人からも愛されており、おしゃべりを楽しみながら、大きな声で笑って過ごすといったのが祖父の日常でした。「笑う」ということが、人生においていかに大切であるかということを、祖父は自分の身をもってして証明してくれたように思います。 そんな祖父が、亡くなる約一か月前に「病院に連れていって欲しい」と言ったのです。その年は猛暑日が続いていたため、家族は皆「高齢の祖父にとっては少ししんどかったかな」や「夏風邪をひいたのかな」くら