唐突ですが、あなたは人を「憎んだこと」がありますか? 「まあ、あるかな」くらいが一般的な答えかと思うのですが、その程度では「憎んだ」ことになりません。 私はあります。やっとその時の心情程度なら書くこともできるようになりましたが、10年以上がすぎた今でも、詳しく話すことができません。話そうとしても口がカラカラに渇いて言葉が出なくなります。ましてや文章になんて絶対にできません。ですがおそらく、まだまだそれも「憎しみ」としては生ぬるいものであったろうことが、むしろそういう経験をしたからこそわかります。 よく残忍な殺人事件などで「遺族の気持ちを考えろ」とか言う感情的死刑賛美派のマッチョな人がいますが、私はそういう人には心底腹わたが煮えくりかえります。憎しみの辛さや恐ろしさを知らないからこそ、そういう無神経なことを平気で言えるのです。そういう人は単に「遺族」をダシにして、自分のちっぽけで薄っ