1996年、『ライブラリ相関社会科学3 “資本”から人間の経済へ―20世紀を考える〈3〉』(鬼塚雄丞・丸山真人・森政稔編、新世社)に掲載された内藤朝雄さんの文章です。この文章は加筆・修正されたうえで『いじめの社会理論―その生態学的秩序の生成と解体』の二章部分にも収められ、「社会秩序群の生態学的布置連関モデル」や「IPS(inter-intra-personal spiral system)」概念など、内藤さんの「いじめ」論の骨子にあたる議論が読めます。 ******************* 「いじめ」の社会関係論 0・はじめに 群れであることの構造的な「いきがたさ」を、人々がリアルな体験を生きることそのこととその人たち「なりの」社会秩序の存在様式とが分かち難く結合した相において、明らかにしたい。これが筆者の問題関心である。この「いきがたさ」は人類の宿痾の病とも言うべき普遍的なものであり、