海底から噴出する熱水などに含まれる硫化水素を利用して、二酸化炭素から栄養を作り出す“イオウ細菌”を中心に生態系を形成する、深海の熱水噴出域。 神奈川県藤沢市の新江ノ島水族館では、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と共同研究を行い、深海の熱水噴出域と冷湧水域周辺の生態系を再現した「化学合成生態系水槽」を公開している。 この深海コーナーにて、世界で初めて生体展示を開始したのが「ユメオキヤドカリ属の一種」。通常ヤドカリに見られる巻貝の殻では無く、熱水噴出域に生息する深海生物「サツマハオリムシ」の棲管(せいかん)を宿にしたヤドカリだ。 サツマハオリムシは、蟹の甲羅と同じキチン質の棲管を自分で作り、エラだけを外に出して生活している。 深海を撮影した動画や写真には、海底に細い管が雑草のように生えている場面が映し出される事があるが、それが深海性ハオリムシの棲管。新江ノ島水族館の化学合成生態