ある時、実家から大きなダンボール箱が三つ送られてきた。門のところで宅配の人から受け取ろうとすると、「すごく重たいので玄関先まで運びます」。開けてみると、実家に預けてあった美術本である。といっても元は私の本ではなく、父が買ったもの。 昔よく、彫刻や絵画の大判豪華美術全集が講談社や美術出版社から出ていて、美術を志した娘のためということもあってか、美術愛好家の父は次から次へと購入していた。今では私はそういう画集を開くこともほとんどなくなったが、このような本はもう出ないので売り払うには惜しく、かといって自分の家の本棚は満杯なので、実家に置かせてもらっていたのである。 「本棚買ったら引き取るから」と言って延び延びになっていた、その半分くらいがいきなりドカンと送られてきてびっくり。 「お父さんたら、前もって電話くらいくれればいいのに」と電話すると、本を送ってきたのは母だった。なぜかとても機嫌が悪い。と