歴史・文化・環境をめぐる学術的話題から、映画やゲームについての無節操な評論まで、心象スケッチを連ねてゆきます。 環境哲学、環境倫理関係の入門書が2冊出た。 まず、近年共生思想研究センターなどを立ち上げて気を吐く東洋大の、『エコ・フィロソフィー入門』。私的な関心から、中国哲学の「"モッタイナイ"から"シノビナイ"へ」に目を通してみたが、読み進むうちに何となく気持ちが悪くなってきた。内容的には反対すべきところはないので、一体何が不快にさせるのか分からなかったが、終わり付近でそれが「圧倒的な自己肯定」にあると気付いた。つまり、一貫して「儒教にはこんなに素晴らしい思想がありますよ、世の中はこの教えの意味をよく吟味して、いろいろ考えなおさなきゃいけないんじゃないですか」という主張で書かれているのである。荘子による文明批判、儒教の知が自然の秩序を攪乱しているとの指摘などには一切触れられていない。中国が