筒井先生の『結婚と家族のこれから』読了。ご本人も専門の研究者もたくさんいる中でうかつなことは書けないけれど、家族という一般には情緒の問題として理解されがちな社会関係を、経済活動の連関によって生じた現象として説明する(それによって現代的な課題も明らかにする)のは、社会科学の入門としても非常によい入り口だと思う。また一昔前であればこうした「下部構造決定論」的な手つきは、ある種の共通理解として存在していたのだろうけど、いろんな経緯があって廃れてしまっている感もあるから、僕にとっては懐かしい思いもある。 本書のハイライトはおそらく、経済問題としての「共働き家庭」を支援することが、結果的に同類婚を増やすことで格差を拡大するという逆説に目を向けるところだろう。そこで提示される処方箋は、税制度というすごくスタンダードなものだけど、もちろんギデンズの「ライフ・ポリティクス」のように政策理念で個別の処方箋を