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ブックマーク / ameblo.jp/t-kazuo (9)

  • 『戦うフィンランド(1)』

    ロシアウクライナ侵攻を受けて、多くの人々が第二次世界大戦中のソ連とフィンランドの戦争を思い出しています。孤立無援の中で勇敢に戦ったフィンランド人の勇気を現在のウクライナ人の姿に重ね合わせています。当時のソ連軍と現在のロシア軍の類似性にも驚かされます。拙著『世界の中の日/グローバル化と北欧からの視点』(放送大学教育振興会、2015年)の第2章「戦うフィンランド」27∼50ページで、フィンランドの戦いについて紹介しました。その微調整版をアップいたします。 --- 「カレリア----。それはフィンランド民族の魂の土地だわ。民族詩カレワラが歌われた伝説の地よ。シベリウスの音楽はカレリアへの愛からうまれた。霧と沼、白樺と岩肌・・・」 アノイの言葉『霧のカレリア』から 霧のカレリア フィンランドの歴史を語って、感情的にならないのは難しい。その歴史を振り返ると、国際政治の冷厳な現実に直面せざるを得な

    『戦うフィンランド(1)』
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    non_117 2022/04/25
  • 『NATOとロシアの脅威認識ギャップ(1)』

    最近のウクライナ情勢を踏まえ、拙著『現代の国際政治』(放送大学教育振興会、2018年)第8章「プーチンのロシア」章、110∼125ページの関連部分を改訂した。関連図表は、上記の拙著に対応したテレビ教材からである。 --- ロシアと東欧諸国/安全保障のディレンマ ロシアの脅威認識の源泉 ロシアというのは不思議な国である。周りの国には軍事大国として恐れられているのに、周辺諸国から自国が脅かされていると考えているからである。その不思議さを説明するのは、繰り返し侵略を受けて来た被害者としてのロシア歴史である。 現代のロシアを大きく規定する経験は第二次世界大戦である。当時はソ連であった。このソ連は1939年9月の第二次大戦の開戦時にはナチス・ドイツと不可侵条約を結んでいた。そしてドイツと共にポーランドを分割した。しかし2年後の1941年6月に、そのドイツがソ連を奇襲した。ナイフでバターを切るように

    『NATOとロシアの脅威認識ギャップ(1)』
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    non_117 2022/04/25
  • 『アフガニスタンの巡り合わせ』

    2021年8月末にアメリカ軍の飛行機が最後まで残っていた同軍の将兵を載せてアフガニスタンの首都カブールの空港から飛立った。「これで01年から約20年間に及んだアメリカ歴史上で一番長い戦争が終わった」と、アメリカのメディアは報じている。もちろん終わったのは、アメリカにとってのアフガニスタン戦争に過ぎない。アフガニスタンの人々にとっては、これからも内戦がつづくのが懸念される。 この戦争の勝者はだれだろうか。もちろんアメリカ軍を撤退に追い込んだターレバンと呼ばれる人々の勝利である。ターレバンを支援したパキスタンの勝利でもある。そして国際政治全体の大きな視点で見ると、勝者は中国だろう。アメリカがアフガニスタンやイラクで血を流しお金をドブに捨てるような戦争をしている間に、超大国へと中国は飛躍した。アメリカの関心が中東に集中している間に、中国は周辺の海域に人工の島を建設し、軍事基地を置いた。アメリカ

    『アフガニスタンの巡り合わせ』
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    non_117 2021/11/29
  • 『イスラエルと中国の接近』

    イスラエルと中国の関係が米国をいら立たせている。 近年、中国の中東進出が目立つ。その中でもイスラエルとの関係が深まっている。たとえば両国間の年間の貿易額はすでに1兆5千億円を超えている。イスラエルの中国への輸出で重要なのはハイテクである。これにワシントンが神経質になっている。ワシントンでの対中警戒感の高まりから、だんだんと米国などからのハイテクの導入がむずかしくなっている中国は、その埋め合わせでもするかのように、イスラエルからハイテクの輸入を増加させている。 イスラエルのハイテク産業は米国との関係が深い。結果としてイスラエルという裏口から米国のハイテクが中国に流れている。少なくとも米国は、そう認識している。そしてこれが、米国・イスラエル関係の摩擦要因となっている。イスラエルが輸出するハイテクによって中国軍が強くなるからである。将来、米国と中国台湾を巡って衝突する場合、イスラエルが提供した

    『イスラエルと中国の接近』
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    non_117 2021/11/12
  • 『イランに保守強硬派の新大統領/新たな火種になるのか』

    守強硬派のライシ師が選ばれました。アメリカとの対立は深まるのですか。 この問題の核心にあるのが、まさにイランの核問題です。では、核問題とはなんでしょうか。 イランが密かに行っていた核開発が暴露されたのは2002年でした。イランは平和利用だと主張しましたが、アメリカなど各国は軍事転用を疑いました。そしてイランに対して経済制裁を科しました。しかし、09年にアメリカでオバマ政権が誕生すると、イランとアメリカなどの間で交渉が始まり、15年にイランと諸大国が核合意に署名しました。諸大国とはアメリカ、イギリス、フランス、中国ロシアの国連安全保障理の5常任理事国とドイツの6カ国です。合意のポイントは、一方でイランは核開発に大幅な制限を受け入れる、他方で各国は経済制裁を止める、でした。 ところが18年にトランプ大統領が合意から一方的に離脱しました。そして経済制裁を再開・強化しました。これによってイランは

    『イランに保守強硬派の新大統領/新たな火種になるのか』
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    non_117 2021/09/20
  • 『ワクチン開発者のお守り』

    で一番多く接種されている新型コロナウイルスワクチンは、アメリカのファイザー製である。しかし、じっさいにワクチンを開発したのはファイザーと提携しているドイツのビオンテック社である。同社のトップはトルコ系移民の2世であるウール・シャヒーンである。 シャヒーンは、1965年にトルコの地中海岸の都市イスケンデルンで生まれている。シリアに近い都市である。イスケンデルンとはアレキサンドリアと言う意味である。古代にアレキサンダー大王が、アケメネス朝ペルシア帝国の大軍を付近のイッソスで撃破した。その勝利を記念するために、この都市が建設された。 アレキサンダーは支配地域にみずからの名を冠した多くの都市を建設した。つまり、多くのアレキサンドリアがあるわけだ。一番有名なのは、エジプト第二の都市で地中海岸の港町アレキサンドリアである。その他にも、アフガニスタンのカンダハルもうそうだ。ターレバンの根拠地として知

    『ワクチン開発者のお守り』
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    non_117 2021/09/20
  • 『日本とモデルナワクチン』

    新型コロナウイルス対策として日では2種類のワクチンが接種されている。一つはドイツのビオンテック社とアメリカのファイザー社が共同で開発したワクチンで、もう一つがアメリカのモデルナ社製のワクチンである。このモデルナ・ワクチンの開発の遠い遠い背景となったのが、日である。 というのは、日の経済的な成功が、科学者を志望していた男をモデルナのワクチンをつくりだした会社の創業者に変えるきっかけとなったからだ。この男は、ヌーバール・アフェヤーンというレバノンからの移民である。科学者にあこがれていたアフェヤーンはMIT(マサチューセッツ工科大学)で生物化学を研究していた。学業を終えれば実験室で働くつもりだったという。 アフェヤーンがMITで学んでいた1980年代は、日がバブル経済に沸いていた時代だった。日経済に世界の注目が集まっていた。一部では、アメリカ経済への脅威とさえ見られていた。 アフェヤー

    『日本とモデルナワクチン』
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    non_117 2021/08/11
  • 『キリスト教福音派とイスラエル』

    アメリカは、なぜイスラエルを支持するのだろうか。 昨年5月のガザに対するイスラエルの攻撃に、国連の安保理が何度も即時停戦を求める決議を採択しようとした。だが、その度にアメリカがそれを阻止した。安保理ではアメリカ、イギリス、フランス、ロシア中国の5大国の1カ国でも反対すると決議は成立しない。この5カ国が拒否権を持っている。アメリカは、その拒否権でイスラエルを守り通した。その間ガザでは、イスラエルの攻撃の巻き添えで多くの子どもたちが殺された。なぜこれほどまでにイスラエルを支持するのだろうか。 それは、アメリカ国内にイスラエルを支持する人々がいるからだ。ユダヤ系の人たちのイスラエル支持は、良く知られている。アメリカには750万人のユダヤ系の人々が生活している。アメリカの総人口を3億3千万人とすれば、2・4パーセントに当たる。バイデン大統領は1970年代の議員への初当選以来、その支持を受けて歩ん

    『キリスト教福音派とイスラエル』
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    non_117 2021/07/12
  • 高橋和夫の国際政治ブログ

    それなりだが、それほどではない イラン大統領の死は、大きな事件である。しかし、その影響は限定的である。というのは3つの理由からだ。第一にイランの権力構造の中では、大きな政策の最終的な決定権は最高指導者のアリ・ハメネイ師に属しているからだ。第二に特に外交や安全保障の分野では、最高指導者が大きな影響力を行使するからだ。軍、革命防衛隊、治安機関なでは、最高指導者に直属している。第三に、しかもライシ大統領は、1979年のイラン革命政権の成立後、もっとも低い支持率で当選した大統領だからだ。それでなくとも制度的に弱い立場にいるのに、民意の支持という正統性が欠如していれば、その発言力はさらに弱まる。 と見てくると、この大統領が舞台を去ったからといって新しいドラマが始まるとは、とても推測できない。短期的にはイランの内政と外交に大きな変化は予想しずらい。もちろんイランの大統領の死は、それなりの大事件ではある

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    non_117 2021/05/05
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