自殺を図る人たちは、死にたい気持をだれにも話さず、固い決心をして、いきなり実行するわけではない。防衛医科大学校(埼玉県)防衛医学研究センターの高橋祥友教授(行動科学研究部門)は「自殺者は、心の痛みを止めてほしいという、何らかのサインを発しています」と話す。 ●自殺率は年齢に比例 自殺の動機は、子供ではいじめ、中高年では不況による経済的な問題、高齢者では孤独や病苦が多いといわれる。しかし、動機は、単純なものではなく、自殺に至る過程で幾つかの問題が複雑に絡み合っている。自殺者は、解決策を考える力をなくし、周囲に助けを求めることもできずに死を選んでしまうようだ。 自殺率は、年齢が高くなるにつれて上昇する。女性より男性に多く、都市部より過疎地域で比率が高い。 自殺の危険因子とされるのは、 (1) 自殺未遂の経験 (2) うつ病やアルコール依存症、薬物依存などの