「あれ、改札出たんだっけ?」 電車を降りて駅のコンコースを歩いていたはずが、ふと気がつくと、いつのまにかグルメやファッションの店が軒を連ねる、デパートさながらの明るくにぎやかな空間に変わっている。 2005年3月、JR東日本の大宮駅に華々しくオープンした『ecute大宮』。改札の中のあまりの変わりように、行き交う乗降客は思わず改札を出たかどうか切符を確認するほど。 本来、目的も機能も異にしていた鉄道駅と商業施設を同じ空間に一体化する。それも改札内に。この画期的な『エキナカビジネス』を企画し実現した仕掛け人が、JR東日本ステーションリテイリング代表取締役社長の鎌田由美子さんだ。 同社の社長に就任したのは05年6月、39歳のとき。しかも、JR東日本の数ある関連会社のなかでプロパー出身女性社長はただ一人ということもあり、大いに注目され話題となり、雑誌などでも取り上げられた。 しかし、1989年に