すでに発表されている第146回(2011年下半期)芥川龍之介賞の候補作5作は以下の通り。 石田 千(いしだ・せん)「きなりの雲」(群像10月号) 円城 塔(えんじょう・とう)「道化師の蝶」(群像7月号) 田中慎弥(たなか・しんや)「共喰い」(すばる10月号) 広小路尚祈(ひろこうじ・なおき)「まちなか」(文學界8月号) 吉井磨弥(よしい・まや)「七月のばか」(文學界11月号) 候補作で目を引くのは、《新潮》掲載作が1本もないこと。 このところ芥川賞では《新潮》勢が圧倒的に強く、第141回(磯崎憲一郎「終の住処」が受賞)以降の受賞作4作は、すべて《新潮》初出の作品が占めていた。前々回は、《新潮》掲載の2作(朝吹真理子「きことわ」と西村賢太「苦役列車」)がW受賞、受賞作なしに終わった前回も候補作6作のうち半数の3作が《新潮》初出だったが、今回は一転して《新潮》抜きのレースとなった。 各候補作の