1955年6月、NATO軍最大の航空戦演習「カルト ブランシュ(Carte Blanche)」が実施されています。この演習は1週間にわたってデンマークからイタリアに至る広範囲な作戦空域で行われ、3000機以上のNATO軍機が参加し、出撃は約12000ソーティに及ぶ大規模なものでした。イギリス軍を主体とする第2戦術空軍が「北軍」(ソ連空軍)、アメリカ軍を主体とする第4戦術空軍が「南軍」(NATO軍)を演じ、ソ連軍侵攻に伴う空襲の第一波からNATO空軍が立ち直り、反撃に移行するシナリオで、飛行部隊だけでなく警戒、管制、防空火器などの支援部隊も含めて総合的に行われた第三次世界大戦のシミュレーションでした。 演習の成績は満足できるものとされ、現有戦力に加えて再建途上にある西ドイツ空軍がNATO陣営に加われば、寒々しいばかりの地上兵力に比べて航空戦力では相当な充実が見込めると判定されていますが、この