宮内悠介「盤上の夜」を読了した。第1回創元SF短編賞において、山田正紀賞を受賞した表題作を収録した連作短編集であり、収録された6編が囲碁、将棋、チェッカー等、いずれもボードゲームを題材にしているという、一風変わった作品である。 囲碁、将棋、麻雀。うむ。地味ながらも良質で緻密な作品である匂いがぷんぷんしてくるではないか。 騙されるな。 本書はあなたの人間観を激しく揺さぶる極上の一発だ。 あなたも、本書を読んで後戻りできなくなってしまうといい。 この連作短編集の冒頭の二編「盤上の夜」と「人間の王」の出来はすさまじい。ゴングが鳴って、直後にいいワンツーを食らってしまったのである。これで喜ばなければMではない。 「盤上の夜」は囲碁、「人間の王」はチェッカー。共にボードゲームと人間がどのようにかかわっているかを解明する話だ というと、人生の機微とか、そんな事を連想するかもしれないがさにあらず。そこに