オードリー・タンさんが大臣に起用されたり、新型コロナ対策が効果的だったり、そんな報道や記事をたくさん見かけて、台湾が合理的に判断できることを羨ましく思ったりする。でもこの「羨ましい」には、実は無神経さ・傲慢さが潜んでいるのではないか、とちょっと疑っている。 台湾やシンガポール、イスラエルといった国々は、日本と比較してももっとリアルに「自国の存続」への危機感を持続させているのだろう。台湾は台湾海峡を隔てて大陸中国と常に向かい合い、その相手は「一つの中国」を掲げ国家としての存在を否定している。シンガポールは戦後にマレーシアと一旦は連邦を形成するも、真水など重要なインフラをマレーシアに握られたままその後に独立している(現在は協調関係を維持している)。イスラエルは、第1次大戦後のイギリスによる三枚舌外交(その一環のバルフォア宣言)に基づいて建国後、周囲のアラブ諸国と4度の中東戦争を経て自国を維持し