「ハイタッチ、しませんか」―。JR茅ケ崎駅に10月、不思議なグループが現れた。毎週水曜日、通勤・通学で駅へと急ぐ市民らに笑顔で声を掛け、ハイタッチを求める。ただそれだけ。賛同してもらえなくても、嫌な顔をせず、次々に声を掛けていく。何が彼らをそうさせるのか。早朝の駅に向かった。 「おはようございます」。水曜日午前7時。駅南口近くの歩道に、縦1列に並んだ男女4人。みな右手を掲げ、足早に通り過ぎようとする市民にこう呼び掛ける。「ハイタッチ、お願いします」 無視を決め込む人、慌てて下を向いて歩き去る人、手で制して駅に向かう人…。やはり、そう簡単には成功しない。 だが、彼らは決してめげない。その後ろ姿に、笑顔で「いってらっしゃい。お仕事頑張って」と告げると、また前を向く。 しばらくして、スーツ姿の男性が照れくさそうにハイタッチをした。すると後ろの男性もつられたように続く。パチンッ、パチンッ。