・東南アジアと呼ばれる国々にはインドシナ半島とインドネシアやフィリピンなどがふくまれる。最近ではASEANと呼ばれて、これからの成長が期待されている地域である。しかし、一部の国を除けば、現状では、政治的には不安定で、経済的には貧しいと考えられるのが一般的だ。つまり豊かで平和な環境は、何よりこれからの近代化にかかっているという発想である。僕も漠然と、そんなふうに考えていたが、『大航海時代の東南アジアI』を読んで、認識を変えなければと思わされた。 ・リードによれば、15-16世紀の東南アジアは、きわめて豊かで平和な地域だったようだ。たとえば、熱帯地域だから食べ物は豊富だし、当時のヨーロッパにくらべて寿命も長く、生む子どもの数も少なかった。幼児の死亡率が低かったから、一人の子どもに長い時間をかけて愛情を注ぐようにできたようである。母親は子どもが2歳をすぎるまで母乳を与えていたという。衛生観念、薬