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ブックマーク / speeressplitter.hatenablog.com (18)

  • 告白/湊かなえ - 不壊の槍は折られましたが、何か?

    告白 作者: 湊かなえ出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2008/08/05メディア: 単行購入: 25人 クリック: 692回この商品を含むブログ (755件) を見る 年度末、中学校のそのクラスでは担任の女性教師が離任の挨拶をしていた。勤務先のその学校で愛娘がプールで溺死するという悲劇に見舞われた彼女は、生徒たちにある《告白》を始める……。 連作短編形式を採用しているが事実上の長編で、悪意や独善、相互無理解が数珠繋ぎに負の連鎖反応を起こしており、実にスリリングである。そして各編においては、他人(肉親含む)の理解など土台不可能であること、自覚の有無にかかわらず人間は誰しも自分のフィルターを通したマイワールドでしか生きられないこと、一たび歯車が狂ったら人生は簡単に破滅することを、作者は恐ろしく淡々と描き出す。押し付けがましくなっていないのは素晴らしいが、それ以前に地の文が徹底的に冷静な

    告白/湊かなえ - 不壊の槍は折られましたが、何か?
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    noreply 2008/10/13
  • 2008-08-29

    マザーズ・タワー (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション) 作者: 吉田親司出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/07メディア: 単行購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (9件) を見る 2038年、スリランカとインドを結ぶ巨橋を拠点とする《マザーズ教団》は、その拠点において難病の子どもたちの末期を看取る事業を展開していた。しかし教団代表の葵飛巫子はこの拠点が襲撃されることを察知し、巨橋を崩壊させてしまう。巨橋崩壊当日に現場に居合わせた4人の男は、飛巫子の目的と人類が直面する危機を知り、テロにも負けず、各国政府の横槍にも負けず、軌道エレベータの建造実現に向けて動き始めた。 厨房設定の強者たちが、厨房設定の協力を得て、厨房設定の問題解決に向けて、厨房設定の戦いを挑む物語である。凄い人や事物・事象を出すのはいいのだが、その凄さが全て「描かれる」ではなく「説明される」

    2008-08-29
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    noreply 2008/10/13
  • 2008-08-21

    ストーカー (ハヤカワ文庫 SF 504) 作者: アルカジイストルガツキー,ボリスストルガツキー,深見弾出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2014/09/05メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 127回この商品を含むブログ (72件) を見る 異星の超文明は、地球の数箇所に来訪したものの、人類と全く接触せず去って行った。しかし彼らが飛来した土地は、彼らが去った後も、様々な物体と不思議な現象に溢れた異常な領域となる。人類はそれを“ゾーン”と呼んで、一般人の立ち入りが禁止されることになった。だが“ゾーン”に不法侵入し、さまざまな物品を持ち出す人々が暗躍するようになる。彼らはいつしか《ストーカー》と呼ばれるようになった……。 書は、ストーカーたちを描く物語である。中心になるのはレドリック・シュハルトで、腕のいいストーカーなのだが、結局彼らはアウトローであるため、どうもニヒリズムに沈

    2008-08-21
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    noreply 2008/08/27
  • フロスト気質/R・D・ウィングフィールド | 2008-08-06 - 不壊の槍は折られましたが、何か?

    カラスの親指 by rule of CROW’s thumb 作者: 道尾秀介出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/07/23メディア: 単行購入: 4人 クリック: 67回この商品を含むブログ (96件) を見る 闇金業者を内部告発して娘を亡くした過去を持つ武沢は、なぜか彼を慕う男テツと一緒に、詐欺師稼業に勤しんでいた。やがてひょんなことから、スリ少女まひろ、彼女の姉やひろ、その彼氏貫太郎も仲間に加わる。武沢は、やひろ・まひろ姉妹の母親が、昔の自分の厳しい取立てに耐えかねて自殺した女であったことに気付いたが、打ち明けかねていた。そんな武沢たちの周囲に、摘発されたはずの闇金業者の影がちらつき始め……。 書の基調をなす、洒脱かつどこか空とぼけたやり取りは、伊坂幸太郎を思わせる。何らかの小噺やキーワードに主題や人物を象徴させるところも、伊坂の作風と共通している。さらに、コン・ゲーム

    フロスト気質/R・D・ウィングフィールド | 2008-08-06 - 不壊の槍は折られましたが、何か?
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    noreply 2008/08/10
  • 限りなき夏/クリストファー・プリースト - 不壊の槍は折られましたが、何か?

    限りなき夏 (未来の文学) 作者: クリストファープリースト,Christopher Priest,古沢嘉通出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2008/05/01メディア: 単行購入: 3人 クリック: 40回この商品を含むブログ (53件) を見る ジーン・ウルフに代表されるように、娯楽小説と評価され得るジャンル内でも、作品内でわざと全てを語らず、何らかの要素を読み手の解釈または想像に委ねる作家が存在する。作品には曖昧模糊とした余白が出て来るわけだが、筆致がふくよかな場合、その余白からえもいわれぬエモーションが立ち上がることがある。プリーストの諸作はその最たるもので、作品の勘所では絶妙な感傷をまとう。しかも読みやすいのが素晴らしい。 この『限りなき夏』は8編の短編を収録している。いずれもプリーストの領が発揮されており、実に楽しく、同時に実に味わい深い。愛をテーマにした作品が多い

    限りなき夏/クリストファー・プリースト - 不壊の槍は折られましたが、何か?
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    noreply 2008/05/24
    プリーストの短編集。未来の文学シリーズ。
  • Story Seller/新井久幸・編集 - 不壊の槍は折られましたが、何か?

    Story Seller (ストーリーセラー) 2008年 05月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/04/10メディア: 雑誌購入: 2人 クリック: 222回この商品を含むブログ (64件) を見る 小説新潮の5月号別冊で、一人の編集者が独自に編集したものである。伊坂幸太郎・近藤史恵・有川浩・米澤穂信・佐藤友哉・道尾秀介・多孝好の7作家が1編ずつ中編を寄せており、誌面は当に小説(とスタイリッシュな挿絵的な写真のページ)で埋められており、雑誌に付き物の広告もほとんどない。活字も大きめ、当に小説だけで勝負している。 内容であるが、それぞれの作家が持ち味を発揮しているし、しかも変に実験的な作品はないので、誰もが安心して読める。広くおすすめしたい。以下覚書。 伊坂はユーモラスな筆致と人生への前向きな姿勢の中に、色濃いペーソスを埋め込んでおり、まさにこの作家のイメー

    Story Seller/新井久幸・編集 - 不壊の槍は折られましたが、何か?
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    noreply 2008/05/21
    こんな本が出てたのか。
  • 山魔の如き嗤うもの - 不壊の槍は折られましたが、何か?

    山魔の如き嗤うもの (ミステリー・リーグ) 作者: 三津田信三,村田修出版社/メーカー: 原書房発売日: 2008/04/21メディア: 単行購入: 4人 クリック: 97回この商品を含むブログ (78件) を見る 成人儀礼として山歩きをこなしていた若者は、道に迷って忌み山に踏み込み、そこで密かに暮らしていた一家と遭遇する。しかし翌朝、彼らは朝餉の支度をしたまま忽然と消えてしまった。……そのような手記を読んだ刀城言耶は、一路その村へ向かったが、時を置かず、六地蔵様にまつわる奇怪な見立て連続殺人が起きてしまう。 『首無の如き祟るもの』で絶賛を博した期待のシリーズの新作である。このシリーズは従来、いわゆる《真相の衝撃》の演出に心血を注いできた。今回はその点で比較的おとなしい。しかしこれはあくまで「比較」の問題であって、水準自体はやはり高いのである。既出の仕掛けをうまく組み合わせ、かつ見せ方を

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  • 狐火の家/貴志祐介 - 不壊の槍は折られましたが、何か?

    狐火の家 作者: 貴志祐介出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2008/03/01メディア: 単行購入: 1人 クリック: 32回この商品を含むブログ (57件) を見る 弁護士・青砥純子と防犯探偵・榎径が活躍する、『硝子のハンマー』に続く密室シリーズ第2弾である。とはいえ、今回は長編ではなく短編集で、雑誌掲載の短編3と書き下ろしの更に短い短編が1収録された。節々にこの二人のユーモラスなやり取りが挟まれるのが特徴である。 最初の「狐火の家」は、田舎のリンゴ園近くにあった家で、一家の長女が殺害されるというもの。密室を構成するのはその家屋そのものである。密室ものとしてはすっきりしたトリック、それと裏腹のやや煩雑な推理作法はいかにも格推理小説のそれっぽい。収録作品中では、恐らく最もかっちりした格推理と言えるだろう。なお話の雰囲気も編が一番深刻である。 続く「黒い牙」は、ある動物を

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    noreply 2008/03/26
    "弁護士・青砥純子と防犯探偵・榎本径が活躍する、『硝子のハンマー』に続く密室シリーズ第2弾である。とはいえ、今回は長編ではなく短編集で、雑誌掲載の短編3本と書き下ろしの更に短い短編が1本収録された。節々に
  • 蒸気駆動の少年/ジョン・スラデック - 不壊の槍は折られましたが、何か?

    蒸気駆動の少年 [奇想コレクション] 作者: ジョン・スラデック,柳下毅一郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2008/02/19メディア: 単行購入: 4人 クリック: 48回この商品を含むブログ (49件) を見る『スラデック言語遊戯短編集』に比べれば、難易度が遥かに下がった短編集である。翻訳がマトモなのはやはり大きいし、作品自体、ケリー・リンク程度以上にはストーリーを追えるものが多い。中には非常にわかりやすい作品すら含まれている。「超越のサンドイッチ」は明らかにワンアイデア・ストーリーで、これは恐らく誰もが簡単に読めるはずである。また、《ヘンゼルのグレーテル》の悪意に満ちたパロディ「血とショウガパン」は、グリム童話が結構残酷であることが膾炙している現代では、広く受け容れられるだろう。 その一方で、スラデックの尖った面は遺憾なく発揮されており、耐性のない読者をあっさり振り捨て

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    noreply 2008/03/06
    "本短編集を「わけがわからん」と拒否する一方で、『見えないグリーン』や『黒い霊気』を真っ当な小説だとして評価するのは一種の矛盾かも知れない"
  • アプターの宝石/サミュエル・R・ディレイニー - 不壊の槍は折られましたが、何か?

    レプターに住む詩人ジオと大男アースンは、四腕の少年泥棒スネークに出会う。世界にはこういった奇形の人間も結構いるのだ。そしてこの三名は白き女神アーゴの化身の母親を名乗る司祭に出会い、敵国とされる謎に包まれたアプターへ向かうことになる。白き女神アーゴの化身(つまり司祭の娘)はアプターに誘拐されていた。彼女はジオ・アースン・スネークに、アプターの宝石を奪い、娘を取り戻そうとして航海に出る……。 舞台は恐らく遠未来の地球で、核戦争で文明が一時衰退し、また少しずつ回復しつつある。これを背景に、「善悪とは立場によって変わるものだ」という、掴み所があやふやなテーマが、波乱万丈の冒険物語に乗せられ、絢爛たる文章表現に彩られて展開する。 某所で法月綸太郎『密閉教室』が中二病であるとの指摘を目にしたのだが、高校生が高校を舞台に(リアルで聞いていると)恥ずかしい言動をとる程度の『密閉教室』で中二病と言っている

    アプターの宝石/サミュエル・R・ディレイニー - 不壊の槍は折られましたが、何か?
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    noreply 2008/01/19
    "「こうすれば冒険小説はカッコ良くなるはず」とガキが思いそうな要素がてんこ盛りなのである。おまけに全体のバランスも悪い。よって『アプターの宝石』は、要素のみを取り出すとジャンクばかりである"中二病。
  • 山口雅也の本格ミステリ・アンソロジー - 不壊の槍は折られましたが、何か?

    山口雅也の格ミステリ・アンソロジー (角川文庫) 作者: 山口雅也出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2007/12メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 90回この商品を含むブログ (30件) を見る 山口雅也による初のアンソロジーとなる。 とにかく全作品が圧倒的にこてこてで、山口雅也が自身の《嗜好》の精髄を嘗め尽くしているかのようだ。彼の諸作のように、格の何らかの構成要素に特異または異常なエフェクトを効かせた作品が大半を占めるが、その《こだわり》のマニアックさといったらない。ほとんどパラノイアの領域にさえ達している。 たとえば冒頭のジェイムズ・パウエル「道化の町」からして、住民全員(もちろん警察も!)が道化であるという町が舞台なのだから尋常ではない。しかも雰囲気は予想に反して、退廃的で悪夢めいてすらいるのだ。続く坂口安吾「ああ無情」も、淡々と見せかけて異様に情報密度の高い文章に

    山口雅也の本格ミステリ・アンソロジー - 不壊の槍は折られましたが、何か?
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    noreply 2008/01/04
    「彼の諸作のように、本格の何らかの構成要素に特異または異常なエフェクトを効かせた作品が大半を占めるが、その《こだわり》のマニアックさといったらない。ほとんどパラノイアの領域にさえ達している」
  • ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎 - 不壊の槍は折られましたが、何か?

    ゴールデンスランバー 作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/11/29メディア: ハードカバー購入: 12人 クリック: 551回この商品を含むブログ (766件) を見る 国民的人気を誇る若き宰相・金田は、仙台で凱旋パレードの最中、暗殺されてしまう。その容疑者として浮上したのは青柳雅春。2年前、暴漢に襲われていたアイドルを助けてワイドショーのネタになった宅配便ドライバーであった。当時の彼は見るからに好青年であったのだが……。そして青柳雅春の必死の逃走劇が始まる。 伊坂幸太郎の集大成にして最高傑作の登場である。 まず指を折るべきは伏線回収である。書は作品内の事件の全てが解き明かされるタイプの作品ではないが、代わりに、細かいエピソードが後半どんどん回収されていき、首相暗殺犯と目された男の逃走劇を綺麗にまとめるのである。それが後ろに繋がるような伏線として使われるとは

    ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎 - 不壊の槍は折られましたが、何か?
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    noreply 2007/12/04
    「伊坂幸太郎の集大成にして最高傑作の登場」 伊坂メソッドが炸裂しているらしい。これは読みたいな。
  • ジョン・ディクスン・カーを読んだ男/ウィリアム・ブリテン - 不壊の槍は折られましたが、何か?

    ジョン・ディクスン・カーを読んだ男 (論創海外ミステリ) 作者: ウィリアムブリテン,森英俊,William Brittain出版社/メーカー: 論創社発売日: 2007/09メディア: 単行 クリック: 12回この商品を含むブログ (30件) を見る「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」で有名なウィリアム・ブリテンの短編集が出るなんて! と一部で騒がれていたである。収録14編中11編は「○○を読んだ△△」というタイトルが付されている(ただし「読まなかった男」のみ例外)。 この11編は巨匠ミステリ作家へのユーモラスなオマージュである。ミステリとしては格が揃っており、それは「ダシール・ハメットを読んだ男」「ジョルジョ・シムノンを読んだ男」「ジョン・クリーシーを読んだ少女」辺りでも変わらない。ネタも粒が揃っていて印象は良い。ミステリ・マニアに対するくすぐり*1も利いており、ニヤニヤしなが

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  • 収穫祭/西澤保彦 - 不壊の槍は折られましたが、何か?

    収穫祭 [ 西澤保彦 ] ジャンル: ・雑誌・コミック > 小説・エッセイ > 日小説 > 著者名・な行ショップ: 楽天ブックス価格: 2,160円asin:4344013484 首尾木村北西区に住んでいるのはわずか数世帯、もちろん住民も少ない。父と別居した母に連れられ、彼女の実家で育った中学三年の伊吹省路もその一人である。彼は典型的な中二病患者で、厳しい母と祖母を疎んじ悶々とした日々を送っていた。そんなある日、台風がやって来る。当日まだ風雨が激しくない時に町に出ていた省路が戻ると、北西区は惨劇の舞台となっていた……。 足掛け20年にわたる大事件を描き抜く1944枚の大著である。主要登場人物は例外なく妄執に蝕まれ、全体のトーンは非常に黒い。ユーモラスなシーンも時々挟まれるが雰囲気を明るくするには至らず、最終的な読後感への影響はほぼ皆無。作者はキャラの感情を基的に生のまま提示するし、

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    noreply 2007/07/18
    「特に伏線の張り方はさすがに手馴れたものだ。陰鬱な人間ドラマに覆われがちだが、ディベートもしっかり為されている。この内容で1900枚というのは個人的には長過ぎたが、ファンならば一読の価値があるはずだ」
  • 不壊の槍は折られましたが、何か? - 離れた家/山沢晴雄

    離れた家 山沢晴雄傑作集 [ 山沢晴雄 ] ジャンル: ・雑誌・コミック > 小説・エッセイ > 日小説 > 著者名・やらわ行ショップ: 楽天ブックス価格: 3,024円 山沢晴雄は天城一同様、文章/ストーリー展開など、物語ることについての極度に禁欲的な態度が特徴であり、売りでもある。一言一句読み逃さぬよう読者に緊張を強いるわけだが、普通の作家であればその緊張と相殺させるため持ち出す《読みやすさ》や《リーダビリティ》等のサービスに一顧だにしない。従って比較的キャッチーなのは短編となる(なぜなら、そのように緊張を強いる時間が短いからだ)が、これはつまり、中長編で作者の特殊性をより一層感じさせることにもつながる。巻においては表題作の「離れた家」がそれに当たり、トリックの精緻さと煩雑さはまさに異常なレベルに達している。芦辺拓が解説で述べるように、まさに「ここまでやるか」だ。また、禁欲一辺

    不壊の槍は折られましたが、何か? - 離れた家/山沢晴雄
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    noreply 2007/07/04
    「濃密な本格ミステリが揃った素晴らしい一冊」
  • 快盗タナーは眠らない/ローレンス・ブロック - 不壊の槍は折られましたが、何か?

    快盗タナーは眠らない (創元推理文庫) 作者: ローレンスブロック,阿部里美出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/06/20メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (16件) を見る 脳に銃弾を受けて眠らなくなったタナーは、余った時間を勉強に充て数カ国語を習得し、また怪しげな組織(テロ団体をはじめ、イギリスの王統を認めない団体、地球は球ではなく平面だと主張する団体などなど)に複数加入している。さてそんなタナーが、ひょんなことからトルコに三百万ドル相当の金貨が埋められていることを知る。彼は勇躍してトルコに向かうが、秘密警察に身元を怪しまれてしまい強制送還されることになる。だがタナーは送還の途中、アイルランドで護送警官を殴って逃亡し、大冒険を始めてしまう。 筆致は端正で、タナーも飄々としたニヒルな姿勢を崩さない。しかし、にもかかわらず、ストーリー展開が完全にトチ狂っ

    快盗タナーは眠らない/ローレンス・ブロック - 不壊の槍は折られましたが、何か?
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    noreply 2007/07/03
    「ストーリー展開が完全にトチ狂っていて、登場人物の言動も(彼ら自身は真剣だが)もはや無軌道のレベルに達している。スパイ冒険小説のパロディであり、実に素晴らしいバカミス」面白そう。
  • 狂人の部屋/ポール・アルテ - 不壊の槍は折られましたが、何か?

    狂人の部屋 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1801 ツイスト博士シリーズ) 作者: ポール・アルテ,平岡敦出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/06/15メディア: 新書 クリック: 8回この商品を含むブログ (41件) を見る ソーン家の屋敷ハットン荘には、忌まわしい過去があった。100年ほど前、部屋で一族の文学青年が謎の死を遂げたのである。なぜか部屋の絨毯は水に濡れて……。以来その部屋は開かずの間となっていたが、現在の当主ハリスは、その部屋を開こうとする。そして一族に、怪事の数々が襲い来る。 呪わしい言葉を遺して死んだ大叔父(上記文学青年のことである)、曰くつきの部屋、怪しげな予言をおこなう登場人物、不気味な不可能犯罪など、諸々の要素が惜しみなく盛られた格ミステリである。アルテのガジェットへの傾倒は、『狂人の部屋』において、遂にカーに匹敵した。しかも人間関係が輻輳し、それ

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    noreply 2007/06/24
    「度肝を抜くような何かが仕掛けられているわけではないし、本格ミステリに新地平を拓くような作品でもない。しかし、完成度の高さは本物である。アルテの最高傑作と言えるだろう」アルテ新作良さげらしい。
  • Self-Reference ENGINE/円城塔 - 不壊の槍は折られましたが、何か?

    Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) 作者: 円城塔出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/05/01メディア: 単行購入: 11人 クリック: 362回この商品を含むブログ (260件) を見る 巨大知性体*1の織り成す、様々な《世界》におけるお馬鹿なエピソードを20個を連ねた作品。全体的なヴィジョンが壮大過ぎ、全貌の把握はかなり難しいものの、個別のエピソードの楽しさは紛れもなく物だ。ユーモラスな語り口も素晴らしいが、折々に挟まる、晴朗な感傷の絶妙さも読みどころ。読者は、ゲラゲラ笑っていたら、いつの間にかしんみりしていたり、心温まったりしていることだろう。この作品は、極端にペダンティック、極度に緻密である一方、非常に健康的でもあるのだ。まさに傑作。 以下、冒頭部分を引用する。最初から実に振るっている。 全ての可能な文字列。全ての

    Self-Reference ENGINE/円城塔 - 不壊の槍は折られましたが、何か?
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    noreply 2007/06/02
    「読者は、ゲラゲラ笑っていたら、いつの間にかしんみりしていたり、心温まったりしていることだろう。この作品は、極端にペダンティック、極度に緻密である一方、非常に健康的でもあるのだ。まさに傑作」
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