「共和主義」といえば、君主制を否定する思想のことであると思っていたし、ウィキペディアでもそう書いてあるが、最近ではそうではない別の「共和主義」が出てきているようだ。 ポーコックの『マキャベリアン・モーメント』の邦訳が出たが、これなどその一例で、数年前、今は東大にいる川出良枝が新聞でこれを紹介していた時、不思議に思って原書を注文したが、まだ読んでいない。 すると、佐伯啓思・松原隆一郎編の『共和主義ルネサンス』というのが昨年出ていて、西部先生の弟子である二人が共和主義を・・・と思って見てみたら、全然、天皇制の話など出てこないのである。「はじめに」で佐伯は、「わが国に共和主義的な思想を持ち込もうとすれば」としながら「天皇の問題はさておくとしても」などと書いている。驚いた。これは論文集だが、ほとんどそれは、君主制の対比としての共和主義を論じたものではないし、実際、君主制の可否などというのは、論文に