僕は飯野賢治さんのゲームをプレイしたことがない。プレステとサターンが覇権を争う90年代、僕はプレステ派だったので、サターンに移籍した飯野さんのゲームには手が出せなかったのだ。そんな僕にとっても、飯野さんのやることは、目が離せないほど刺激的だった。そもそも、プレステからサターンへの移籍の発表の仕方がすごかった。プレステのイベントでの新作発表で、プレステのロゴをサターンのそれに変形させて、そのままその場でサターンへの移籍を発表する、という演出は、「こんな漫画みたいなことをする大人がいるのか!」という衝撃を僕に与えてくれた。当時、中学生だった僕には、飯野さんが語ったソニー批判はしごくまっとうなものに感じられ、そのときばかりは自分のプレステがこの上なくダサく思えたものだった。 雑誌などで伝えられる飯野さんの活動は、サターンへの移籍後ますます興味深いものになっていた。「エネミーゼロ」では、敵の姿は全