確実に向き合うことになるもの 昔々、小学館から季刊で『使者』という雑誌が出ていた。私が手に取ったのは、その2号になる1979年夏号だった。『「聖」と「賤」の日本文化史』が特集で組まれていた。いわゆる『被差別部落』の問題は江戸幕府が採用した身分制で被差別部落が出来上がったみたいな単純なものではなくて非常に根深く、被差別部落のルーツは平安時代には出現していたこと、スタートした時点では聖別であったものが差別に転換していったことなどが解説されていた。安寿と厨子王の話のオリジンは説教節の『山荘太夫』であり、背景には被差別部落の問題があって説教節の伝承自体、被差別部落を抜きには語れないことが判った。 この特集では陰陽師を、漂泊する芸能民集団の知的なコアとして位置付けていた。そして漂泊する芸能民集団は差別されながらも土地に縛られない自由な民であるとされている。そして民衆が自由であることを望まない統治者達