2014年、年明け早々、三島由紀夫が1963年のノーベル文学賞候補であったことが明らかになった。戦後の日本文学を代表する文豪として、衝撃の割腹自殺から40年以上を経ても、その名前を燦然と文学界に輝かせている三島由紀夫。『仮面の告白』『豊饒の海』『潮騒』と、緻密な構成と耽美的な文体で描かれた彼の小説は、幅広い読者を獲得し、日本のみならず海外での評価も高い。 小説家としての功績ばかりが注目されている三島だが、じつは『鹿鳴館』や『サド侯爵夫人』など多くの戯曲作品を執筆している。また、劇作家だけにとどまらず、文学座に在籍し、自ら演出や出演も果たすなど、演劇に対して並々ならぬ熱意を燃やしていた。そんな熱意を受け継いだ演出家・宮本亜門、そして柳楽優弥の主演によって、今年4月『金閣寺』が再演される。三島由紀夫にとって演劇とは何だったのだろうか? 今回の再演をきっかけに、彼の「演劇人」としての側面を浮かび