ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』は気が向くたびに読み返す。示唆に満ちた本である。 とくに、第23章は気に入っている。本書を全体的に好きだが、この章にはとくに心惹かれる。 これまでこのブログではけっこう同書の抜書をしてきたが、不思議と同章の抜書がなかったので少し書いてみる。 以下は同章の最初の節。この次の節と、最後の2節も好きだが、なかなか骨の折れる作業なので(とはいえ得るものも少なくないが)とりあえずここだけ。 エイモスと共同研究を始めてから数年後、私はイスラエル教育省の役人を口説き落とし、判断と意思決定を高校生に教える必要性を認めさせた。そして、そのためのカリキュラム作成と教科書執筆に着手する運びとなった。そこで私は、適任者のチームを編成し、ベテランの教師や私の教え子、そして当時ヘブライ大学教育職大学院の院長をしていたセイモア・フォックスなどに声をかけた。セイモアはカリキュラム作