かねてからのサウジアラビアとイランとの対立が、年明けにサウジアラビアによるイランとの外交関係断絶にまで発展したことは、中東地域の様々な分野に悪影響を及ぼすと懸念されている。その悪影響の一つには、これを機会に「イスラーム国」対策が停滞し、同派が勢力を伸ばすのではないかということも含まれる。 確かに、欧米諸国、サウジアラビア、トルコ、ロシア、イランなどの諸当事者が各々独自の目標を持ちつつ、十分連携することなく「イスラーム国」を攻撃している状況は非常に効率が悪い。サウジアラビアとイランとの間の協調機運が後退することはこの非効率な「イスラーム国」対策の継続を意味する。その一方で、これまで筆者が指摘したとおり、欧米諸国、トルコ、そしてサウジアラビアをはじめとするアラブ諸国が「イスラーム国」対策としてすべきことは、自国内の「イスラーム国」のための人材や資金などの資源の調達活動、広報活動を取り締まること