乱暴に総括すれば、小学生の子供を一人育てるということは、もう一度小学生として生きるということである。小学生として入学し、徐々に友達と親しくなり、集団生活について勉強してゆき、漢字を習い、時計が読めるようになり、休み時間に外で遊び、給食を残して、体育でかっこいいところを見せたり見せなかったりする。植物を育て社会見学をして生き物を育てる。プールで泳ぎ水彩画を描いてリコーダーを吹く。こういうのはすべて、ふつうに社会人として生きているうちに、いつのまにか忘れていたことで、いちいちおもしろい。 ところが、子供が勉強しているのを横から見ていると、自分がわりと、小学生をちゃんとやっていなかったことに気づいて驚くことが多い。だいたい、漢字の書き順がいいかげんである。社会や理科のさまざまな知識に関してもあやふやで、「資料を読み解け」ならなんとかなっても、覚えていることを書けという問題になると、ハタと書けない