nowhere_personのブックマーク (25)

  • ケータイ小説『闇夜(やみよる)』44話 - 村上F春樹

    「移動だ、移動がはじまったのだ」と男はポケットを落ち葉でいっぱいにしながら歩道橋の下を絶え間なく走る長距離トラックに向かって呟いた。福島県と山形県をつないだ新国道13号を移動する大きな車体が男の濁った目には、アフリカのサバンナを駆けるヌーの群れに映る。 いま、男は大自然を生きる動物の生態を調査する動物学者だった。トラックのマフラーから吹き出された黒煙は乾いた大地の砂煙、アスファルトとタイヤが摩擦するゴリゴリという騒音は彼らの生命の主張だった。ついさっきまで、頑なに自らを骨相学の創始者であるフランツ・ガルであると言い張ってやまなかったこの男を、誰も気に止めなかった。ましてや彼がかつて、北日独立紛争時の勇士、ブルース・ウェインであることなど分かりようがない。みすぼらしく汚れたコートの袖に収まった腕は醜く萎縮し、薬物の影が彼の全体を覆う。彼の象徴であった巨大な男根さえ、干物のように股の間にぶら

    ケータイ小説『闇夜(やみよる)』44話 - 村上F春樹
    nowhere_person
    nowhere_person 2009/01/13
    2009年は徐々にテンションをあげていきますよ。
  • 実際今村上F春樹より面白いブログ小説家っていんの?

    ほんと痺れる。 http://d.hatena.ne.jp/nowhere_person/

    実際今村上F春樹より面白いブログ小説家っていんの?
    nowhere_person
    nowhere_person 2008/12/28
    ありがとうございます。
  • ケータイ小説『闇夜(やみよる)』14 - 村上F春樹

    「唐突にこんなことを言っても、戸惑ってしまうのは当然かもしれません」 運ばれてきたボルシチに手をつけないまま、オマンコーノフは続けた。 「あなた方の苦境は、存じ上げています――かつて豊かな農業地帯、米所と呼ばれた東北の地は、いまや例年厳しくなる減反政策のおかげで軒並み休耕状態。荒れ果てた農村は捨て置かれ、無人の太陽光発電所だけが運用されている。しかも、そこで発電されている電力のほとんどが関東地方の大都市に送られているのでしょう?もはや東北は産業もなく、人が住むところではなくなっていると聞いています。そのような土地を治めるあなた方の虚しさを私は十分理解しているつもりです。今日私が、こんなところまであなた方を呼んだのは、私がその状況を変える手段を提供するためです」 そこで岩手県知事、伊藤政則はボルシチを口に運ぶのを止めた。そのおかげで給仕たちはやっと忍び笑いをするのを止めることができた。伊藤が

    ケータイ小説『闇夜(やみよる)』14 - 村上F春樹
    nowhere_person
    nowhere_person 2008/09/03
    ありがとうございます
  • 闇夜(やみよる)15 - 村上F春樹

    「ないよ〜」しみてきた。「ライタンないよ〜」すげえしみてきた。「パパのメカニックライタンないよ〜」パパの騒々しい泣き声がキズにしみて痛くてしょうがないのでケガで学校を休んでいる私は今日の我が家が私にとって安息の場所ではないと知って脱出することにした。メカニックライタンはウチの器棚にずらり並んだライター戦士の一人。「黄金色のライターが正義のためにロボットに変形して戦う!」なーんて「黄金戦士ゴールドライタン」の企画を通した玩具メーカーとアニメ会社は変なクスリでもやっていたとしか思えないほどクレイジーなんだけど、そんなお世辞にも人気があったとは思えないライタン達を「子供に黄金のライターを買わせようとする姿勢がロックなんだよ〜タスポがなきゃタバコも買えないこんな世の中じゃポイズン♪」とか鼻歌を歌いながらシルク布で磨くのがパパの趣味だから困る。スコープライタンの次点でカッコ悪いメカニックライタンが

    闇夜(やみよる)15 - 村上F春樹
    nowhere_person
    nowhere_person 2008/09/03
    ダークナイト、みんな見たほうがいいよ
  • 闇夜(やみよる)16 - 村上F春樹

    「バットマン・マキシマム・ザ・ホルモン・フェノメノン!」 バットマンの腕から剛毛だかなんだかよくわからない針の弾丸がジョーカーと呼ばれたピエロ男に向かって発射される。 「殺った…!ウヒヒヒ。死ね死ね死ね死ね死ね死ね」 バットマンは突然、饒舌になったようだ。顔をチラ見すると、勝利を確信したのか、例のニヤニヤ笑いを浮かべているぞ。視線をジョーカーに戻す。ジョーカーは必死にマシンガンで針弾を打ち落としている。バットマンの腕からは、針弾がやまない…って、バットマンの腕から煙が立ち込め肉がなくなり骨が露出してる!どんな理屈かわからないが、針弾を打つたびにバットマンの腕の肉がなくなっているのだ。しかしバットマンはニヤニヤ笑いをやめずに針弾を撃つ続けている。カラカラカラカラ。あっ、ジョーカーのマシンガンは弾切れのようだ。僕も勝利を確信する。っていうか、勝利なのかな。そもそも僕とバットマンは仲間なのだろう

    闇夜(やみよる)16 - 村上F春樹
    nowhere_person
    nowhere_person 2008/09/03
    来訪者スピリット
  • 闇夜(やみよる)17 - 村上F春樹

    福島県桧枝岐村から日の全土に向けて飛ばされた電波が止むと、お茶の間にはそれまで映っていた番組が戻ってきた――ある家庭ではCGで再現された森田一義の『笑っていいとも』が、ある家庭では何十年も前に体の一部を機械化することによって人間機械と化したみのもんた2.0の『思いっきりテレビ』がいつもどおりに画面に映し出された。その次の瞬間、巻き起こったのはテレビ局へのクレーム電話の嵐だった――「今、映りこんだ映像は何だ?」「冗談が過ぎる!」。全国のテレビ局の電話対応室に視聴者からの電話が殺到する。北海道県知事、杉村太蔵がおこなった北日連邦独立宣言を正確に受け止めることができたもの、というよりもむしろ真っ当に受け取ることができたものは誰一人としていなかった。杉村の宣言を誰もが何かの間違い、たちの悪い冗談だと思っていた。 15分後、東北新幹線の線路が爆破されるというニュース速報が入ってくるまでは。 新白

    闇夜(やみよる)17 - 村上F春樹
    nowhere_person
    nowhere_person 2008/09/03
    東北、行ったことないのに書いています。すいません。
  • ケータイ小説『闇夜(やみよる)』18 - 村上F春樹

    快感にふやけるぐらいに浸りながら夕空に向け機関銃をババババババと乱射気味に威嚇射撃する私を携帯のバイブが邪魔をした。私は仕方なしに電話をとって液晶を見た。「非通知」 つまらない話だったら速攻切ろう。だって乱射したいんだもの。「もしもし…」無言。非通知で掛けてきて無言なんて私の怒りをマッドマックスにするつもり?「えーと。どちら様ですか!?今ちょっと立て込んでるんですけど!!」「突然ごめん。僕は羽鳥隆之。いや、僕はロビン…」は?ロビン?恋に破れたか夏の暑さにやられたかしらないけれど同情する暇もないので適当に電話を切る。私は機関銃撃つので忙しいんだ。よーし景気付けにもう一丁。バババババ。カイカン。 「次、来るぞ」キクリンから警告。 正門のほうを見やると全身タイツのサイクロプスの両目からビームが発射されるところだった。私の威嚇効いてない。飛んできたビームを私とキクリンは華麗に左右に別れて飛んでかわ

    ケータイ小説『闇夜(やみよる)』18 - 村上F春樹
    nowhere_person
    nowhere_person 2008/09/03
    泣きながら一気に書きました
  • 闇夜(やみよる)20 - 村上F春樹

    全世界に向けて「北日連邦」の正式な独立宣言をおこなうはずのテレビ放送は予告していたとおりの時間に始められた。時刻は午後12時ちょうど。それはちょうど前日に電波ジャックによる独立宣言がおこなわれたのと同時刻だった。 最初に画面へと映し出されたのは宮城県にあった古ぼけた野球場である。これはあるプロ野球球団のホームグラウンドとして使用されていたものだったのだが、老朽化しひび割れたコンクリートや手入れのされていない芝(というか、雑草だらけの野原のような状態だ)からはかつて大勢の観客を楽しませていた輝かしい時代の面影は微塵も感じられなかった。しかし、カメラはその廃墟のような野球場を埋め尽くさんばかりに集まった人々の姿を映し出す。観客席にも、フィールドのなかにも人、人、人、人の群れ。彼らはこの演説のために東北7県、そして北海道からわざわざ集まっていた。圧倒するような黒山の人だかりに、放送を観ていた人

    闇夜(やみよる)20 - 村上F春樹
    nowhere_person
    nowhere_person 2008/09/03
    テンションあがってよかったです
  • 闇夜(やみよる)21 - 村上F春樹

    ニコラスが死んだ次の日からキクリンは何度めかの登校拒否になった。たくさん尋ねたいこともあったので、陰毛はボーボーと繁っているくせにケータイを持っていないキクリンのアパートを何回か訪ねたけれどいつも留守だった。こないだ市内で暴れ回ってた変態超人たちも、いかにも雑魚っぽいロビンだかロビンマスクだかバラクーダだか以外にはめっきり目撃されなくなって落ち着いちゃった。たぶん鳥取の夏の暑さは全身タイツにはキツいんだと思う。 エロ店長のニコラスが死んで慢性的なセクハラからは解放されたけれど私はずどーんとどっぷり落ち込んでいた。そんな私を慰めるようにカンチと羽鳥のバカコンビが慣れなれしく私に声を掛けてきた。 「俺たちとキャッチボールやろうぜ!」 「やろうやろう!」 この二人いつの間にこんなに親しくなったんだろう。羽鳥なんてスネオっぽい態度になってるし。なーんて思いつつも「いいよーやることないからー」とボラ

    闇夜(やみよる)21 - 村上F春樹
    nowhere_person
    nowhere_person 2008/09/03
    そんなに怒ってないですよ、ほんの……ちょっぴり、ね。
  • 闇夜(やみよる)22 - 村上F春樹

    ピンポーン。ピンポピンポピンポーン。ああ、ああ、連打しなくてもいいよ。今、開けるから。ガチャっと重いドアを開ける。父さんが訪問販売でだまされて買った「原爆の炎を防ぐ鋼鉄の玄関ドア」を開ける。彼女は当にそこにいたのだった。僕を、僕を救ってくれるために。 −2時間前− 「あーちゃんが、キクリン探せってよろしくー。」 カンチからのメールだった。あーちゃんが直接僕に連絡してくることはない。いつもカンチ経由。なんでだろう。いわゆるツンデレってやつ??女の子って不思議だな。カンチに適当に返事を打って、僕は深いため息をつく。 また電脳メガネが鳴り始める。爆音が脳から脊髄まで響き渡りハートをこがす。 Boy meets Girl それぞれのあふれる想いに きらめきと 瞬間を見つめてる 星ふる夜の出会いがあるように TRFが鳴ったので、メールじゃなくて通話だ。少し期待をしながらウィンドウを開くと「非通知」

    闇夜(やみよる)22 - 村上F春樹
    nowhere_person
    nowhere_person 2008/09/03
    24時間テレビを観ながら執筆しました。
  • ケータイ小説『闇夜(やみよる)』23 - 村上F春樹

    Come writers and critics who prophesize with your pen And keep your eyes wide the chance won't come again And don't speak too soon for the wheel's still in spin And there's no tellin' who that it's namin' For the loser now will be later to win For the times they are a-changin' (Bob Dylan - The Times They Are A-Changin') 秋田県知事、加藤鷹による「北日連邦」の正式な独立宣言、そして「南日政府」に対する宣戦布告を受けての各国の反応は冷ややかなものだった。まず、アメリカ合衆国

    ケータイ小説『闇夜(やみよる)』23 - 村上F春樹
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    nowhere_person 2008/09/03
    いつか誰かが「古川日出男みたい!」と言ってくれるのを待っています。
  • 闇夜(やみよる)19 - 村上F春樹

    ユイファは、今日が自分の40歳の誕生日であることに夕飯の支度をしながら気づいた。ふと、自分の半生を振り返る。日に来てから20年、何もなかった。ただ我慢をするだけの味気のない日々だった。ユイファは深いため息を吐いた。最近は何もやる気がしないし、いつも心の中は悲しみでいっぱいだ。自分がそんな状態であることをユイファは初めて自覚した。今日やることを片付けなければ。洗濯物を取り込み、息子が帰るまでに夕飯を作り終える。まずはそれだけだ。それだけを、まずは…。 ちょうどロンドンオリンピック開催から東京オリンピック開催までの4年間。中国では後に魔境革命戦争と呼ばれる大きな内乱があった。結果として、いくつかの省や県が中華人民共和国からの独立を勝ち取ったが、旧雲南省中部に位置する小国「ジッタリンジン」での人民たちの生活は極貧の中にあった。 福島県を拠点とする犬山組系広域暴力団「影虎組」は国際結婚仲介業者「

    闇夜(やみよる)19 - 村上F春樹
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    nowhere_person 2008/08/28
    ブクマ数が減るとやる気なくなるよね。
  • いつもの - 今日も生きてる

    またすこしネット自重期間に入るよ。もう夏も終わるしね。次に何か書くとしたら、9/28のLifeです。1ヶ月後って近っ!でもそれ終わったらまた制限するの。しないとすぐ廃人になるから。はてな当に楽しいです。はてなラブ!!はてなっていうかはてなにいる人たちな。そうそうあなた方のこと、大好きよ。私にとってネットの人は、じっさいには一生会えなかったとしても、でも心の中ではいつも、いつかどこかでは会えるかもしれない、っていう気持ちを持っている。抽象的な意味でも現実的な意味でもね。だって画面の向こうの人は確かに生きてて、存在してるでしょう。そういう人たちは私にとって、今友達じゃなくても、いつか未来の友達で、「生きて、何かを伝えあえる人間」という意味では実際に会っている人たちとなんら変わらないです。 書きたかった事メモ ほのめかしで書くオフレポ サンフラシスコへの旅の事 Vフォー・ヴェンデッタのヴァレ

    いつもの - 今日も生きてる
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    nowhere_person 2008/08/23
    覆面作家に「グダグダ」という文字はございません。/2号さんで良ければウェルカムですYO!
  • 闇夜(やみよる)13 - 村上F春樹

    こいつを丸め込むのは簡単そうだ、こいつはただの素人だ。加持千草は考えていた。実際、羽鳥隆之はその「力を与えてくれる」マスク以外のことは何もしらないようだった。ますますわからない。こいつの力は物だ。なぜバットマンを名乗る者は羽鳥に力を与えたのか。なぜ、その後は羽鳥を放置しているのか。よくわからんが、この事態はチャンスだと考えるとしよう。事件は現場で起こってるんだ。このロビンは使える。 「加持さん、手首は大丈夫ですか?」 「気にするな。それとカンチでいい。それより聞け。あーちゃんのことを少し教えてやる…」 加持は話し始めた。 週明け。月曜日。あーちゃんは休み。気にはなるが、風邪ひいたとかそんなところかもしれない。 「曇り硝子の向こうは風の街/問わず語りの言葉が切ないね」 加持の電脳メガネが鳴り出した。げっ、しまった。マナーモードにしておくのを忘れた。寺尾聰の美声に酔いしれて音を切るのがためら

    闇夜(やみよる)13 - 村上F春樹
    nowhere_person
    nowhere_person 2008/08/20
    やっとモーターのコイルがあったまってきたところなので、ついてきてください。
  • ケータイ小説『闇夜(やみよる)』12 - 村上F春樹

    「エーステ!」 一瞬の沈黙に「…コ」「…コ」「…コ」のルフラン。私は声を聞いた。 鳥取駅北口ロータリーでの戦いを終わらせた私は原付バイクを走らせていた。預かった荷物はしっかりと担いでいる。霧雨。あのときと同じだ。声を聞いたときと。悪魔の声を聞いたときと。私はかつて血に塗れた手を洗い続ける戦士だった。特殊戦13号。それが私の名前だった。名前であり名前でない名前。私は秘密機関「ZOO」で他の子供たちと共に育てられた。周りの大人たちは私たちを「永遠の子供」と呼んだ。手のひらにナンバーを入れられ日夜訓練に明け暮れる日々を送った。 特殊戦のルーツはロシアから軍事顧問としてアンナがまだ雪の降り頻る釧路のヘリポートに降り立ったときに遡る。アンナ・ルナマリア元ロシア陸軍准将。私たちは彼女を「アナ=ル」と呼んで畏怖した。アナ=ルは私たちにとって母であり父であり、そして絶対的な「神」であった。アナ=ルは母国諜

    ケータイ小説『闇夜(やみよる)』12 - 村上F春樹
    nowhere_person
    nowhere_person 2008/08/20
    みんな頑張ってついてきてね。
  • ケータイ小説『闇夜(やみよる)』11 - 村上F春樹

    1年前まで深夜の墓場のように静まり返っていた釧路港は、海底から無尽蔵かと思われるほどの勢いでメタンハイドレートを汲み上げる巨大パイプ、マイクのおかげで蘇る。以前は燃料高騰の煽りをうけて代々続けられてきた蟹漁や美味しいカマボコなどの原料になる白身魚を捕獲するために沖へ出る船は港に釘付け状態だったのにもはやそんな過去は誰も思い出せないと言った様子。市場には人が溢れ、ゴム製の前垂れをかけた若い釧路漁業組合員の一人は押し寄せる人の波に向かって絶叫する。「蟹!蟹!蟹!」。そうこうしているうちに漁へ出ていた船が戻ってくる。鮮やかな大漁旗が風を受けて揺れる。「Mike Love!」。旗には金の刺繍糸でそう縫ってあった。 これが25年の釧路港の様子だ。戦争が始まる1ヵ月前の栄えた港町の風景。しかし、そこには通常の港町の風景にはない異様なものがただひとつ存在していたんだ。それは軍艦。正確に述べるならば空母。

    ケータイ小説『闇夜(やみよる)』11 - 村上F春樹
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    nowhere_person 2008/08/15
    皆さん、お盆休みですか?ボクは関係なく書き続けますよ!
  • ケータイ小説『闇夜(やみよる)』10 - 村上F春樹

    カンチこと加持千草は自転車をかっ飛ばす下校中も焦っていた。季節はすっかり初夏になろうとしているのに捜査には何の進展もない。入学してからというもの、加持は羽鳥隆之のうわさを学校でもネットでも吹聴して回った(第4話参照)。だが、このうわさは実は羽鳥についてではなく、加持の捜査対象である私立諸星学園理事長、諸星和己についての裏の取れたほぼ確実なプロフィールであった。うわさは諸星の耳にも入るだろう、そして自分のことと気づいた諸星が何らかの動きを見せるのではないか。そんな期待をしていた加持であったが、効果があったことと言えば、羽鳥が学校中から「アナル君」と呼ばれハブられたことだけだった。かわいそうだが、大事の前の小事だ。大儀のために犠牲はつきものだろう。そう加持はお気楽に考えていた。俺だけは「アナル君」とは呼ばないでやろう。 目下、加持が気にしているのはバットマンの存在だ。バットマンの暴力の理由は?

    ケータイ小説『闇夜(やみよる)』10 - 村上F春樹
    nowhere_person
    nowhere_person 2008/08/15
    皆さん、ウンコとか肛門とか嫌いですか?でもアナタだってウンコするし、肛門も持ってますよね?
  • 闇夜(やみよる)9 - 村上F春樹

    私にとって最悪の目覚めはいつもチャゲアスによってもたらされる。私の家には朝ゴハンのときにチャゲアスを流すという友達に絶対に知られたくない慣習があって数あるチャゲアスの曲のなかでも私は「SAY YES」が流れると頭痛というか頭のなかがじゅじゅじゅと掻き毟られる感じがする。「余計な〜ものなど〜ないよね〜アアーッ〜すべて〜が君と僕との〜」の「アアーッ」てところ。なにあれ。なにが「アアーッ」なの。嫌いな奴に慣れ慣れしく名前を呼ばれている感っていうか背中をしょしょしょしょと名前も知らない虫が這って歩いていくような不快感が頭のなかでチリチリとスパークする。だいたい歌詞カードに「アアーッ」なんて書いてないし意味わからない。あの部分がスピーカーから出てくるだけで私の中の怒りの神もむくむくううううくうアアーッと瞬間的に目覚めてマッドマックス状態になってしまう。今日は最低。「SAY YES」。しかもバカのカン

    闇夜(やみよる)9 - 村上F春樹
    nowhere_person
    nowhere_person 2008/08/15
    どうでも良いですが、昨日7年間付き合ってた彼女と結婚しました。
  • ケータイ小説『闇夜(やみよる)』8 - 村上F春樹

    25年。それよりちょっと前から話そう。 世界は深刻なエネルギー危機に見舞われている。石油生産は過度に抑制され、限られた人々の手にしか渡らない。ガソリン車はほぼ絶滅する――そんなものを乗りまわすのは特権的な富裕層だけだ。黒いガスを勇ましく吐き出しながら走るガソリン車は、趣味の悪い人間たちのステータス、権力・富の誇示方法になる。マトモな人間は電気か天然ガスで走るマトモな車に乗ってるんだ。 それから地球温暖化――これもヤバい。北極と南極、両極から溶け出した氷は海面を寄せて、上げる。オランダはすでに半分ぐらい沈んでしまっている。東京は江東区と港区が常に床上浸水。高さ600メートルを超える21世紀最大のタワーの足元は常に濡れ濡れだ。東京ディズニーランドは?なんとか生きてる。膨大な資金を利用して、建造物を根こそぎ地盤から引っこ抜き(もともと埋立地だったからそれは容易だった)、高尾山の麓まで十数機のヘリ

    ケータイ小説『闇夜(やみよる)』8 - 村上F春樹
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    nowhere_person 2008/08/13
    うやむやなラストなんてあるわけないでしょ!全部、書くだけなんだよ!頭のなかにあるものを!/大事なことなので何度も言いますが、ボクに影響を与えているのは美嘉だけです。
  • ケータイ小説『闇夜(やみよる)』7 - 村上F春樹

    あーちゃん、かわいいよあーちゃん。 カチ。吉沢明歩「ハイパー×ギリギリモザイク ものすごい顔射」を見終えてメガネのチャンネルを変える。パンツを履く。やはりAVは21世紀初頭に限るぜ。愛のないセックスにより広がる致死性の感染症「LOVELESS」が猛威を振るって四半世紀。今やAVの主流は電脳世界に移行してしまった。脳に直接快感のイメージを投影する。「PTA公認のアダルトビデオ」って何だそれは。ぜんぜんILLじゃない。僕は女の子の、脇のジョリジョリした感じが好きなんだ。触ったことないけど。妄想だけど。DTだけど。YOチェキYO。僕はオナニーするときもNaSの「illmatic」を聴いてる。まさにマン・オブ・ザ・マン。ドープなテンションヌが俺を支配する。俺に触るんじゃねー。怪我するぜ。 カチ。ネットにアクセス。メガネを操作するとき、アナログスイッチを押す音を模した「カチッ」というサウンドエフェク

    ケータイ小説『闇夜(やみよる)』7 - 村上F春樹
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    nowhere_person 2008/08/12
    最近、思ったほどブクマ数が伸びません。みんな飽きちゃったの?