福島から東京に避難してきた原発事故の被災者の中には、住所を都内に移した人も少なくない。原発が争点に浮上している都知事選に対し、さまざまな思いを抱きながら2月9日の投票に臨もうとしている。 ◇ 都知事選の舌戦が本格化した24日。福島県いわき市から新宿区の戸山団地へ息子2人とともに避難した鈴木寛子さん(33)のもとに、区選挙管理委員会から「投票所整理券」が届いた。 家族は、原発事故で引き裂かれた。 震災直後の断水で実父が透析治療を受けられなくなり、鈴木さんは2カ月後に出産を控えた体で、父を連れ東京へ避難した。その夏、いったん子どもと一緒にいわき市に戻り、8カ月間暮らした。幼稚園の年長だった長男の被ばく線量を自費で調べたら周りの子より高かった。不安に襲われた。「後悔は、したくない」 2012年3月、仕事のある夫(38)を残し、改めて上京した。2人の息子はぜんそくなどで頻繁に通院する。医