ブックマーク / honz.jp (7)

  • 『分水嶺』専門家たちの葛藤を描いた傑作ノンフィクション - HONZ

    何か不測の事態を前にすると、読みの習性でついに手が伸びてしまう。 中国・武漢で発生した原因不明の肺炎に世間が注目し始めた頃、読み直さねばと書棚からひっぱり出したのは、『パンデミックとたたかう』というだった。 このは、SF作家の瀬名秀明氏が東北大学医学系研究科教授(当時)の押谷仁氏と新型インフルエンザについて議論を交わしたものだ。2009年に出ただが、押谷氏の発言に教えられるところが多く、その名が強く印象に残っていた。 付箋を貼っていたところをいくつか抜き出してみる。 「感染症の危機管理の基は、わからないなかで決断をしなくてはいけないことです。その最終的な判断は、やはり政治家がすべきだと私は思います」 「ウイルス性肺炎は、現代の医療現場でも、治療するのが非常に厳しい肺炎です」 「重症者が多発した場合の治療の課題は、医療体制の問題として、日はICUのベッドや人工呼吸器が限られてい

    『分水嶺』専門家たちの葛藤を描いた傑作ノンフィクション - HONZ
  • 『不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学』 - HONZ

    あんり氏は神学者で、その研究内容は必ずしも一般向けとは言えない。著作で扱っているのも、キリスト教の教義論争がメインコンテンツだ。なのに、その内容は、いつも同時代の問題意識にぴったりとシンクロしている。『反知性主義』しかり、『異端の時代』しかり。 今回の『不寛容論』も、まさにそういうだ。 日人はなんとなく、「キリスト教もイスラム教も、一神教で凝り固まっている連中って独善的だよね。それに比べて、多神教の日人はずっと寛容じゃん!」と思っている。実際、和辻哲郎、梅原猛、山折哲雄といった哲学系の日研究者でそう主張している人も少なくない。しかし、森氏は「それは違う」とはっきり述べている。 2018年に刊行された『現代日の宗教事情』というに紹介されている「世界価値観調査」によると、日は、調査対象となった6カ国(アメリカ中国、インド、ブラジル、パキスタン、日)の中で、「他宗教の人を

    『不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学』 - HONZ
    nrp6
    nrp6 2021/01/28
    “可能性があるのにそうしようとしないなら、そういう奴は積極的に排除した方がいい、という判断になる”マイケル・サンデル『Tyranny of Merit』の能力主義批判に通じる?著者の本は気になる物が多すぎる。読んでみる
  • アメリカのいまが見えてくるMUSIC『ディス・イズ・アメリカ』 - HONZ

    『ディス・イズ・アメリカ』はTBSラジオの「ジェーン・スー生活は踊る」「アフター6ジャンクション」「荻上チキSession-22」などで放送した音楽特集から、アメリカ政治的・社会的トピックに関連する解説を抜粋し、さらに音楽メディアに寄稿したコラムや評論などをまとめただ。激動する近年のアメリカ社会の中でポップミュージックが何をうたってきたのか?を「グラミー賞」を軸にしてまとめている。 新時代の女性のエンパワメントアンセムを歌うアリアナ・グランデ。美しさの価値や基準は自分で決めるボディポジティブ運動のシンボルになっているリゾ。LGBTQをテーマにした曲を発表したテイラー・スウィフト。地球温暖化について歌うビリー・アイリッシュなど、書を読むと、音楽を通してアメリカのいまが見えてくる。 また、グラミー賞における黒人差別問題も書を読んで知った。2000年以降で、最優秀アルバム賞を取った黒人の

    アメリカのいまが見えてくるMUSIC『ディス・イズ・アメリカ』 - HONZ
    nrp6
    nrp6 2020/10/30
    Childish Gambinoのは確かに衝撃だった。現地の空気感はニュースではわからないし現地で人と話すのも憚られる。音楽は本音を理解するためのいい糸口になるのかもしれない。とりま聞いてみよ。
  • 『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』世界はくだらない仕事にあふれてる - HONZ

    待ちに待った邦訳がようやく出た。 デヴィッド・グレーバーの『ブルシット・ジョブ』である。 「ブルシット・ジョブ」とは、「クソどうでもいい仕事」のことだ。 もう少し丁寧に説明すると、「なんのためにあるのかわからない、なくなっても誰も困らない仕事」のことである。 近年、私たちの身の回りでブルシット・ジョブが増えている。 そして、確実にこの手の仕事は、働く人々の心身を蝕んでいる。 多くの人がこのことにうっすら気づいていたようで、2013年に著者があるウェブマガジンで「ブルシット・ジョブ現象について」という小論を発表したところ、国際的な反響を呼んだ。書はこの小論をベースに、その後の調査や考察を加えて一冊にまとめたものだ。コロナ禍でエッセンシャル・ワーカーに注目が集まる中、時宜にかなった出版といえる。まさにいま読むべき旬の一冊だ。 著者のデヴィッド・グレーバーは、イギリスの名門大学、ロンドンスクー

    『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』世界はくだらない仕事にあふれてる - HONZ
  • 『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス いまからおよそ1万年前、人類は農業を発明した。農業が生まれると、人びとは必要な栄養を効率的に摂取できるようになり、移動性の狩猟採集生活から脱して、好適地に定住するようになった。そして、一部の集住地域では文明が興り、さらには、生産物の余剰を背景にして国家が形成された──。おそらくあなたもそんなストーリーを耳にし、学んだことがあるだろう。 しかし、かくも行き渡っているそのストーリーに対して、書は疑問符を突きつける。なるほど、初期の国家はいずれも農業を基盤とするものであった。だが、人類はなにも農業を手にしたから定住を始めたわけではない(後述)。また、メソポタミアで最初期の国家が誕生したのは、作物栽培と定住の開始から4000年以上も後のことである。それゆえ、「農業→定住→国家」と安直に結び

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ
  • 『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ

    具体的な数字やデータを示してもダメ。明晰な論理で説いてもムダ。そんなとき、あなたはきっとこう思ってしまうのではないか。「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」。 実際問題、日々の生活でそんな思いを抱いてしまう場面は少なくないだろう。失敗例がすでにいくつもあるのに、それでもまだ無理筋を通そうとする社内のプレゼンター。子育てのあり方をめぐって、何を言っても聞く耳を持ってくれないパートナーなど。また不思議なことに、たとえ高学歴の人であっても、「事実に説得されない」という点ではどうやらほかの人と変わらないようだ。 さて書は、冒頭の問いを切り口としながら、人が他人に対して及ぼす「影響力」について考えようとするものである。心理学と神経科学の知見を織り交ぜつつ、著者は早々に厳しい診断を下す。 多くの人が「こうすれば他人の考えや行動を変えることができる」と信じている方法が、実は間違っていた…。 数字や統

    『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ
  • 「図書館の隠れたポテンシャル」を引き出す4冊 - HONZ

    図書館の隠れたポテンシャル」を引き出す4冊『知の広場』『サブジェクト・ライブラリアン』『情報リテラシーのための図書館』『シリアの秘密図書館』 机は勉強する大学生や高校生に占領され、読みたいはだいたい貸出中、音を立てれば「シーッ!」と怖い目で睨むメガネをかけた図書館員、映画で登場する図書館の典型である。 インターネットで検索すれば欲しい情報がすぐに手に入ってしまう時代に、日を含む世界各国の図書館は生き残りをかけて、古いイメージから脱却しようと挑戦している。の虫だけを相手にしたサービスでなく、幅広い層に利用され、図書館ならではの専門性を活かした問題解決を行い、知識社会を生きる市民のサポーターとして、なくてはならない存在になろうとしている。 存在意義と役割をアップデートしようとする試行錯誤の過程を明らかにし、スペース、サービス、教育、社会的意義の切り口から図書館の高いポテンシャルを解放す

    「図書館の隠れたポテンシャル」を引き出す4冊 - HONZ
    nrp6
    nrp6 2018/03/26
    代官山蔦屋の本のコンシェルジュのおじさまは本当に詳しくて本が好きなのが伝わって会話が心地良かった。図書館員の予約サービスに期待。是非利用してみたい。
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