フードデザートから地域の再生に向けて 木立 真直/中央大学商学部教授、企業研究所所長 専門分野 流通論、食品流通論 フードデザートとは フードデザートとは「食の砂漠」(Food Deserts)のことである。「食後の甘味」のことではない。3年前なら流通論の講義で話題にしても、この言葉を知る学生はほぼ皆無であった。しかし最近、この問題への認知度は急速に高まりつつある。英国発のこの言葉が、日本でも2009年になって「買物難民」・「買物弱者」という言葉とともにマスコミで大きく取り上げられたからである。良くも悪くもマスコミの力は強大だ。けれども、この現象は21世紀に入って生じてきた新奇の傾向ではない。 流通論は、元々、商品の取引を対象とする学問である。もっとも近年になると、商店街や街づくりなど、流通業と地域との関連性に着目した研究が活発になっている。映画『下妻物語』の主人公・桃子が足繁く通う渋谷・