深刻化が増す「貧困」問題。そんななか、SOSを出したくても出せない人たちがいる。支援が必要な人たちを、さらなる窮地へと追い込む「貧困は自己責任」論とはーー。貧困、格差問題を取材し続け、自らも「隠れ貧困」の家庭で育った経験を持つ、『年収100万円で生きる―格差都市・東京の肉声―』の著者でフリージャーナリストの吉川ばんびさんに現状を聞いた。 「生活保護を受けるほど落ちぶれてはないんです」 これまで、貧困当事者から何度も聞いたこの言葉の重みというか救われなさに、頭をもたげることが増えた。彼ら彼女らにとって生活保護を受給することは「恥」であり、超えてはならない最後の一線なのかもしれない。 現在の日本には、貧困に陥っている人に対して差別的な意識や偏見を持つ人々が少なからず存在している。そのなかでもっともメジャーで代表的なものが「貧困は自己責任」だ。 低賃金で働く非正規労働者やシングルマザー、中高年の