「仕事がつらすぎる。ストレスがすごい」 「死にたい」 ——「またそれか」 「ごめんね。でも、死にたい」 ——「死んだらいかんよ。僕、加瀬くんが死んだら、しばらく体調を崩して寝込んじゃうよ」 「……うん」 ——「会社に行きたくないの?」 「うん」 ——「なんで?」 「仕事がつらすぎる。ストレスがすごい。勤務中は常にプレッシャーを感じていて息がつまる。意地悪な先輩もいる」 ——「でも、加瀬くんのとこメガバンクじゃん。仕事は激務でもそのぶん給料はいいでしょ」 「しょせん都銀だし世間に思われているほど給料はよくないよ」 「なんのために働いているのかわからん。なんで銀行なんて入ってしまったんかな。頭がグチャグチャしてなにも考えられん」 このやりとりは、僕が東大に入学したときからの友人である加瀬良介くん(仮名・37歳)と、ある年の夏にLINEで交わしたものだ。 加瀬くんは大阪府出身。中高一貫の私立校か