今年、家を買う。 20年前、こんなど田舎に住むなんて考えられないと思った、この土地に。 実家から車で一時間の、おじの家で遠くに聞こえる電車の音と少しの民家と、田んぼ、田んぼ、田んぼ、それと、いくつかの溜池。 何もすることないじゃんと思っていたこの土地に、根を下ろすと決めたのだ。 思えば去年までは奨学金を払い終えたらもう一つの故郷の海外へ帰るつもりだった。 私は日本と日本の真裏の国のハーフで、育ちは日本だが、故郷の言葉も話せるし、親の定年が目前となっており故郷へ帰ることを知っていたから自分もそちらへ行くか、という決断だった。しかし、故郷の政府はとても頭がわるく、今回のコロナでの対応も目に余るものだった。ギャングたちによるコロナ伝播阻止や、脱獄囚たち。命の危機が日本よりも何倍もあるその国で子供を生み、育てたいと思えなくなっていた。 幸いにも私は早々に生涯の伴侶にあい、いま苦楽をともにしている。