今年最悪の企業統治スキャンダルは、東芝による株主圧力問題だろう。6月10日付の第三者調査報告書によると、東芝は経産省と結託し、東芝株を4.43%保有するハーバード大学基金の議決権行使に圧力をかけ、その他の外国人投資家も懐柔した。 また、三菱電機では、労務問題や品質不正などが相次ぎ、6月29日には鉄道車両向け空調装置において35年以上にわたる不正検査の問題が発覚した。杉山武史社長は組織的な不正行為と認め、引責辞任を表明した。 東芝と三菱電機のガバナンス体制は、「脆弱」であったのか? 表向きは決してそうではない。本来、東芝はガバナンス優等生と目されてきた。2003年に米国型ガバナンスといわれる指名委員会等設置会社に移行し、以降徐々に社外取締役の構成比を高めてきた。 2020年に綱川智社長(当時)が会長、車谷暢昭会長が社長に就任したわずか1年後、株主への圧力スキャンダルの渦中の車谷氏は辞任、綱川