先日ホームセンターでにんじんの種を手にしたときに、人生で初めて「祖父に似てきたかもしれない」と思ってしまった。 三十路を超えてから、妙に食べ物を育てたくなった。 食べ物を育てたのなんていつぶりだろう。小学校以来だろうか。2022年春に久しぶりにミニトマトを育てて以来、2023年秋からはいちごを始め、先日はにんじんの種をペットボトルに植えた。手元には九条ねぎの種もある。育てたいのは花卉(かき)ではなく、なぜか食べ物なのだ。2023年秋に近所のスーパーで買ってきたひょろひょろのいちごの苗は、今では七株に増え、約30個のかわいいいちごの粒に生まれ変わった。日の光に当てるとラメのように光るいちごを見ながら、自分でこのいちごを育てたんだという幸福感を味わっている。 食べ物を育てるということで思い出したのが、母方の祖父だった。自分は今まで母方の祖父に似ていると感じたことがなかった。父方の祖父からは活字
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