「今年で終わるかもしれない」と覚悟を決めて臨んだ。 だが早々と大記録を達成、今も3割前後の打率を保つ。 復活劇の裏にはオフの統一球の対策や独自の体調管理術、 そして、人に助言を求める事を厭わず、それを自らの “引き出し”として活用する、ベテランの知恵があった。 稲葉篤紀は、プロ入り18年目の開幕を特別な思いで迎えていた。 「年も40になりますし、正直言って自分には後がない。今年で終わりかもしれない。それぐらいの覚悟を持ってシーズンに臨みました」 2000本安打まであと34本に迫っていたが、昨季の打率は2割6分2厘。自身過去最低の数字だった。 「今年も同じような成績だったらチームに迷惑をかけてしまう。2000本という節目の年でもありましたし、もしそれを達成して、成績が落ちたりすると、みんなに『稲葉、お疲れさん』みたいな感じで見られてしまうでしょう。だから、悔いの残らないような1年を送ろうと思