もう大笑いである。某大企業のCIO(最高情報責任者)が「当社も失敗を恐れずデジタルに挑戦する風土が出来上がりつつある」と発言したからである。「やはり木村は失礼な奴だ」と思った読者はご安心いただきたい。いくらなんでも面と向かって大笑いなどしない。「いや、そうじゃなくて。失敗を恐れず挑戦することをなぜ笑うのか」。そう非難する読者もいると思うので、順を追って説明しよう。ホント大笑いである。そもそも「失敗」って何なのさ。 実のところ、最近のユーザー企業の変貌ぶりには驚かされる。つい最近まで「ITなんか、よう分からん。デジタルって何なのさ」と言っていた大企業の経営者が突然、「我が社もデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するために……」などと語り始めたからである。それだけでなくDX推進組織を置き、社長や実力派の副社長がCDXO(最高デジタルトランスフォーメーション責任者)を兼務したりする。