ここ秋吉台では、音楽監督の細川俊夫を中心に、内外のすぐれた音楽家の参加を得て、きわめて充実した活動が積み重ねられてきました。そして、10年目にあたる今年(1998年)は、磯崎新による国際芸術村の見事な建物ができあがり、そのユニークなホールでルイジ・ノーノのオペラ《プロメテオ》の日本初演が実現されるはこびとなったわけです。そもそもこのホールは《プロメテオ》を念頭に置いて設計されたのですから、これほど贅沢なことはないと言うべきでしょう。並々ならぬ努力によってここまで漕ぎ着けられた細川俊夫をはじめとする関係者の皆さんに、深い敬意を表したいと思います。 この歴史的な機会に、ノーノの歩みをもういちどざっと振り返ってみたい。とはいえ、私は音楽の専門家ではないので、むしろノーノをとりまく状況をできるだけ広く展望することにし、ノーノの音楽については作品そのものに語らせることにしたいと思います。 ノーノは、