ブックマーク / kakuyomu.jp (79)

  • 食卓の向かい側 - 2DKの向かい側(佐々木匙) - カクヨム

    中野の奴の朝は遅い。 俺の眠りがどうにも浅くて早朝に目が覚めてしまうから、その時間を読書に充てている、そのせいで余計に奴が寝坊に見えるのかもしれない。 昨日から読みかけだったは注釈が多いせいでなかなか捗らず、俺は腰掛けていたベッドからゆっくり立ち上がった。スリッパを履いて、部屋の外に出る。 廊下を挟んで向こうが、ルームシェアをしている中野の部屋だ。意外にもいつも静かで、寝息ひとつ聞こえてこない。喋る声はあれだけ大きいのになと思う。そして、奴はこちらがどれほど声をかけても、ドアをノックしても、眠い時には梃子でも動かない。というよりは、眠りが深すぎて聞こえていないようだった。羨ましいとは思う。 床を鳴らさないようにしながら、キッチンに向かう。共用スペースということになってはいるが、ほぼ俺の管理だ。中野の料理はせいぜいがたまの昼に作る量の多いチャーハンくらいで、朝は特に俺が用意しなければ何も

    食卓の向かい側 - 2DKの向かい側(佐々木匙) - カクヨム
    nyah
    nyah 2024/06/05
    久し振りに顔見せたと思ったらこれだよ!!もー!すき
  • 5-55 獣、森、洞窟 - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム

    勝敗は決した。運命という巨大な流れはクロウサー家によって掌握されている。 いまや空使い選定レースという競い合いは形式的な儀礼(セレモニー)でしかない。 天空神にも等しいダウザール。巨大血族が長い年月をかけて築き上げてきた盤石の布陣。入念に準備されていた大神院の掌握計画。存在が秘されていた『下』の血族と恐るべき数の実力者たち。 加えて紀人レメスが復活したとなれば、もはや尋常な手段では抗いようもない。 この勝負は最初からクロウサー家が勝利するように組み立てられているし、リーナ・ゾラ・クロウサーは巨大な『家』の歯車として順当な結果を得ることが決まっている。人の意思とは全く関わりなく、それは定められた決定事項だ。 この状況でユディーアやメートリアン、セリアック=ニアにできることは何か? 「恐れながら申し上げます。偉大なる空の狩人、犬を友とする御方よ」 神と相対するのは初めてではない。白昼夢の如き

    5-55 獣、森、洞窟 - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム
    nyah
    nyah 2024/06/02
    語彙が地獄過ぎる
  • 第585話 別れ道 - 迷宮クソたわけ(イワトオ) - カクヨム

    子供がおよそ六十名、青年が三十名。 ノクトー流剣術道場の門下生はおおよそ、そんな数らしい。 堂の店主は中空に視線を漂わせ、指折り数えながら教えてくれた。 「それなりに多いですね」 ヒョークマンはそれを聞いて素直な感想を呟く。 「ええ、なんせ謝礼が安いもんだから……」 店主は照れたように笑いながら情報を補足した。 確かに、店主がいう月謝の額はかなり安い。 少なくとも、教授騎士として僕が教え子から受け取る金額とは桁がいくつも違う。 「ベリコガ先生は鷹揚な人だから、教え方も優しいし、月謝の支払いが遅れてもうるさくは言わないでしょう。むしろ、路上で寝起きしている様な金のない子供なんかを拾っちゃ、飯をわせたりして、大勢に慕われた人でした。だから、ノクトー流剣術道場はどちらかと言やあ、ベリコガ先生の支援者が力を合わせて支えている様な集まりなんです」 ベリコガ自身、達人冒険者の域を越えてかなりの深層

    第585話 別れ道 - 迷宮クソたわけ(イワトオ) - カクヨム
    nyah
    nyah 2024/06/02
    せつねえ/このシーンをつとめるのが作中一番のぽっと出メンというのが出会いのむつかしさっちゅーかなんちゅーか
  • 第三話 また俺なにか(かませムーブを)やっちゃいました? - クラス転移で俺だけ勇者、クラスメイトは『外れ』で『無能』の『役立たず』?! ~絶対に復讐されたくないかませ勇者の悪役回避~(最近) - カクヨム

    風が心地よい。 落ち着きを取り戻した勇吾は、強いストレスが解消されていくのを感じていた。 革の裏で柔らかな羽毛と確かな筋骨の質感を確かめる。 巨大な怪鳥の背中で受ける風は荒々しく冷たかったが、窮地から脱したことによる解放感は体感の厳しさを上回っていた。 (いい風だな。面倒な枷から解き放たれた気分はどうだ、勇吾。これでお前は勇者の力を自由に振るうことができる。お前を縛る法も倫理も既に無用の長物だ) 勇吾は眉根を寄せた。何か、変なことを考えてしまったような気がする。 というより、これは当に自分で考えたことか? ふと、先ほど演技の小道具として用いたナイフが抜き身のままであることに気づいた。あまりにも物騒だ。ベルトに吊り下げるためのフック付きの鞘はちゃんと腰にある。刃を仕舞おうとした時、ふたたびの違和感。 (足手まといどもが。あの情けねえツラを見なくていいと思うとせいせいするぜ。あいつら文句多

    第三話 また俺なにか(かませムーブを)やっちゃいました? - クラス転移で俺だけ勇者、クラスメイトは『外れ』で『無能』の『役立たず』?! ~絶対に復讐されたくないかませ勇者の悪役回避~(最近) - カクヨム
    nyah
    nyah 2024/02/14
    そりゃその姓は面倒でしょうねえ!
  • 第二話 転移したらかませ勇者だった件 - クラス転移で俺だけ勇者、クラスメイトは『外れ』で『無能』の『役立たず』?! ~絶対に復讐されたくないかませ勇者の悪役回避~(最近) - カクヨム

    柔らかな風がそよぐ。 屋内だというのに、それはするりと勇吾の耳に滑り込み、静かに震え始めた。 彼の前に突然現れた少女、オリヴィアの声だ。 (この神殿内は監視されており、その対策として今は大気を操るおまじないであなたの鼓膜に直接干渉しています。返事は視線を上下に動かすだけでかまいません) オリヴィアの唇は動いていない。戸惑いを覚えつつも、言われた通りに視線を動かすことで肯定の意思を示す。間を置かずに耳の中で振動。感覚としてはイヤフォンをしている状態に近い。 (職分け帽子によって天職とクエストを与えられた生徒たちは、あなたも含めて既にこの状況を作り上げた元凶の洗脳下にあります。『帽子』と『神殿』を管理する血族集団に対し、無条件の敬意と信頼を抱くようになる簡単な催眠暗示です。クエストの進行と上級職への転職を契機として完全に使い魔となり支配下に置かれます。あなた自身とご友人たちを助けるためにわたく

    第二話 転移したらかませ勇者だった件 - クラス転移で俺だけ勇者、クラスメイトは『外れ』で『無能』の『役立たず』?! ~絶対に復讐されたくないかませ勇者の悪役回避~(最近) - カクヨム
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    nyah 2024/02/13
    お前なーっ こんな茶番をなーっ あの血族がなーっ/いや正直おもろいんだけど前提知識抜きでも面白いのか分からん
  • 第一話 悪役令嬢ものを読んでいなかったら即死だった - クラス転移で俺だけ勇者、クラスメイトは『外れ』で『無能』の『役立たず』?! ~絶対に復讐されたくないかませ勇者の悪役回避~(最近) - カクヨム

    クラス転移で俺だけ勇者、クラスメイトは『外れ』で『無能』の『役立たず』?! ~絶対に復讐されたくないかませ勇者の悪役回避~ 最近 おおむね、世の中はいつだって上手くいかないことばかりだ。 それでも問わずにはいられない。 どうしてこうなってしまったのだろう。 直視するには現実は過酷で。 全てを呑み込むような大きな理不尽は、前触れもなくやってくる。 壊れたバスも。物言わぬ運転手も。どこかに消え失せた担任教師も。 期待と希望に満ちた、三十九人のクラスメイトたちからの視線も。 「おめでとうございます。あなたの天職は『勇者』です」 避けようのない破滅と、望みもしない恵まれた環境。 嫌なモノほど向こうからやってくる。得てして現実なんてそんなもの。 よりにもよって、天川勇吾(あまかわゆうご)は勇者だった。 状況は良くない。既に三人の女子生徒が悪役令嬢として婚約破棄を言い渡され、八人の男子生徒が外れスキル

    第一話 悪役令嬢ものを読んでいなかったら即死だった - クラス転移で俺だけ勇者、クラスメイトは『外れ』で『無能』の『役立たず』?! ~絶対に復讐されたくないかませ勇者の悪役回避~(最近) - カクヨム
    nyah
    nyah 2024/02/12
    なんかセスカの見せる悪夢みてーだなと思って読んでたらゼオーティアだのクロウサーだの出てきてひっくり返ったんですけど何これ……
  •   - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム

    どこかのいつか。 暗く狭い鉄の檻、闇から闇へスクラップを運ぶベルトコンベアーがあった。 過去から運ばれてくる残骸の支流は収束し、流動する鋼鉄の大河となってその場所に辿り着く。 そこは価値の墓場だった。 打ち棄てられた『がらくた』の山。 死屍累々の人形たち。 笑う人形師。未来から現在を操作する遊戯盤の干渉者。 肩から垂れた髪の房は左右で違う赤と青。 指先から繋がった赤青混色の糸が盤面の上、和装の人形に絡みついている。 小さいながらも精巧に作られたその形は寸分違わずイツノと称される少女と同一であった。その出来映えの見事さといったら、イツノをモデルに作られた模型というよりも、この模型を元に作られたのがイツノではないかと思われるほど。 盤外には幾つもの人形――模型が並んでいる。 義手、装甲、重火器――メタリックな質感と油のにおいを迫真の模造で突きつける趣味の極致。縮小された現実は、価値の転倒によっ

      - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム
    nyah
    nyah 2023/12/20
    ……やっぱり分からん/どこぞのラストシューティングを思わせる欠損
  • 4-223 終節:窮『Put My Finger Only On Your Cheek』③ - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム

    舞台に立つのは黒髪の青年ただひとり。 届かなかったのか、それとも取りこぼしたのか、ミヒトネッセの姿はない。 あるいは『目の前で恋人を無惨に殺された男が再起して挑んでくる』という女神が構築したシチュエーションの強制力は、コルセスカでさえ覆せなかったのか。 ルウテトはクレイの首筋から透明な呪力のラインが伸びて虚空に溶けているのを見るや、大げさによろめいて涙を流してみせた。 「ああクレイ、薄情な息子。私を捨てて新しいママを選んだの?」 「いいえ。俺は変わらず、王国の剣です」 だからこそ主君の期待に応えるのだと、彼は前に進み出た。 ルウテトもまた微笑んで、ゆっくりと両手を開く。 すると女神の腹部から『扉』が開き、大量の泥が流れ落ちた。 土塊から形を得て、新生していく新たなクレイたち。 次々と襲いかかる自分自身と向かい合い、剣と剣が激突する。 「さあ、試練を乗り越えてご覧なさい」 交換可能なクレイは

    4-223 終節:窮『Put My Finger Only On Your Cheek』③ - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム
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    nyah 2023/12/14
    流石にスタァライト過ぎるだろと思ったのを思い出した/……あれ?アキラくんそのへんの前世記憶は残ってるのか アレでどう切り欠かれたのかいまいちよく分かってないんだよな
  • 4-222 終節:窮『Put My Finger Only On Your Cheek』② - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム

    揺らぎの中にいる。 まずはじめに、その確信があった。 そこは誰かの意識の底。 闇に包まれた内面世界。 無限に広がる虚空のどこかから、ゆっくりと振動が近付いてくる。 懐かしさを伴った気配に引き摺られて、心地良い目覚めが身体を包む。 遠くから響いてくるのは叱りつけるような、それでいて激励するような声だ。 「いつまで寝ているのです、この軟弱者! それでも『黄金』位の高みに到達した舞い手ですか。しっかりなさい!」 世界の主は、呼び声に規定されるようにして空間に出現した。 気が付けば果ての無い闇の中、どうしてか目の前の人物だけがはっきりとした像を結んでいる。瞑目した少女は羊飼いの服装で、穏やかながらも苛烈な表情で叱咤を続けている。息を呑む。少しして、鮮烈な輝きと共にあったファウナの名を震える声で口にした。盲目の黄金アイドルは、眉を少しだけ下げて言った。 「ここでは師匠とお呼びなさい。私は黄金の継承と

    4-222 終節:窮『Put My Finger Only On Your Cheek』② - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム
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    nyah 2023/12/13
    前半だけでも読むと良い
  • 4-221 終節:窮『Put My Finger Only On Your Cheek』① - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム

    夢の中、鋼の右腕が纏う血の色に、目を奪われた。 それがはじまり。微睡みと過去とが交わる、死と悦楽の散文詩。 浮上する泡に溶けて、消えていく寝物語の、最初の一文。 ――子守歌は血の味がしたはずだ。 言葉は嘘で、優しさは虚ろ。 それでも選べる愛はひとつきり、震える手で縋るしかない。 これが愛だと口に含んだ果肉の正体を、考えてしまったら全てが終わる。 最初から手遅れでも、気付くことを遅らせることならできるのだから。 私たちは、誰もがみな死の上に立っているということ。 私たちは、誰もがみな死の上に誰かを乗せていくということ。 沢山の命を抱きしめながら、感じていたのはそんな恐ろしさ。 彼が恐怖し、切り離した命の忌まわしさ。 そんなふうにして重く鈍い諦めを受け止めながら、私は胸の奥から止め処なく感動が湧き上がってくることに驚いていた。 口元に運び、牙を突き立て、顎を伝って溢れていく真っ赤な果汁。 なん

    4-221 終節:窮『Put My Finger Only On Your Cheek』① - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム
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    nyah 2023/12/12
    急激に目が開けてゆくシーン……なんだけどいまだにここに至る長丁場のいたるところがちんぷんかんぷんなままなんだよな、それでも目は開けるので爽快なんだけど、何だこれ?
  • 4-220 終節:端『Acceptance』③ - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム

    宣戦布告と同時、舞台の上手と下手から同時に新たな役者が飛び込んできた。 一人はコルセスカ、硝子窓を割るように空間を突き破って豪快に登場した冬の魔女が俺の横に並んでルウテトに氷の槍を突きつける。 もう一人はゼド。床を這う無数の影が集合してひとかたまりの闇となって立ち上がる。テンガロンハットに薄汚れたコート、腰のガンベルトから巨大な拳銃を抜いて構えたガンマンは、今やルウテトの使い魔だった。 奇しくもかつてルウテトと交戦したメンバーが揃っている。ゼドがルウテト側についている点が決定的に異なるが、思えばあの時点で奴はルウテトと密約を交わしていた可能性が高い。 「さあ、俺と遊んでくれ、シナモリアキラ」 ルウテトの死神となったゼドは、欲望にぎらついた目で俺を舐め回すように見た。盗賊としての性なのか、奴は俺と習合して同一の存在になろうとしている。 ルウテトはどちらでもいいのだろう。 自分の『使い魔ユニッ

    4-220 終節:端『Acceptance』③ - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム
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    nyah 2023/12/11
    やっぱここいいなあ
  • 4-216 終節:除『Under The Law』② - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム

    説明が必要だろう。時間は少し遡る。 三度目にして最後となる再演劇の舞台で、はじめ私は意識を喪失していた。 それは私だけではない、多くの人形たちがそうだった。 知っての通り、世界は既に枯れている。 天を仰げば誰にとってもそれは自明だった。どこまでも続くかと思われた蒼穹がぶつりと途切れ、灰色の檻となって可能性の限界を示している。 空を悠々と泳ぎながら腐臭を撒き散らす『死海の大魚』はかつてマツヤと呼ばれていた大型艦の成れの果てだ。死せる女神の権能によって腐った巨大魚となった怪物は、今は第五階層の空を回遊しては新しい命を摘み取ろうとする悪意の化身に成り果てている。これほど終末の風景らしい荒廃ぶりもそう無いだろう。 この世界の中心に聳え立ち、全ての命を支えていた世界樹はずっと昔に盛りを過ぎて、朽ちて倒れた幹は枯葉の絨毯の上でゆっくりと腐っていくのを待つばかり。横倒しの塔に取り残された人々は目減りして

    4-216 終節:除『Under The Law』② - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム
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    nyah 2023/12/07
    「濃密な時間」パート、これ今読むとなんかほんのりと連想されるものがなくもないんだが、そういうダイアローグなのか?/それにしてもやっぱりこのへんは難解に過ぎる
  • 4-211 終節:刃『Oedipus/Simplex』② - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム

    ばちんと音がして、スポットライトの下に現れる騎士とまじない使いの丸っこい人形。紅紫の少女人形トウコが声色を使って二役を演じていく。 「ベルグくんと!」「ガルラくんの!」「悪いがこの空間を遣わせて貰うぞ、そらどけ発勁用意だ死ね人形使い」 突如として乱入した俺に蹴り飛ばされたトウコが人形たち共々舞台袖に転がっていく。「うわーん」という泣き声を無視して、ぞろぞろとやってくる俺ことシナモリアキラの団体。『マレブランケ』のメンバーを中心とした、多彩な顔ぶれが一堂に会していた。 「これより、シナモリアキラ脳内会議を始める」 正式な劇中ではなく、幕間劇という舞台外の舞台だからこそ可能になった空間の乗っ取り。即席の会議室で、俺たちは情報交換を始めた。 「理解不能ですよもう。吸血鬼にボコられた俺の身体は? ていうか現実って何みたいな。劇とか舞台とかここ最近は足場ぐらぐらで目が回りっぱなしで」 真っ先に銃士(

    4-211 終節:刃『Oedipus/Simplex』② - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム
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    nyah 2023/12/02
    “店員さんがヤバめなのは俺が無意味に好意的な時点で明らかなんだが”その認知あったの!?なんかちょいちょい読み落としあるな、やはり再読は必須か
  • 4-162 オルヴァ王と十二人のシナモリアキラ0 - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム

    「――あのね」 わずかな逡巡を置いたあと、ルリさんの声が優しく届いた。 この人は、迷うように優しさを紡いでくれる。好ましいと感じている瞬間の自分は、欠落を忘れられる。生と死のどちらにとっても忘却は特効薬になる。もっと声が聴きたかった。母(キシャル)の声を愛おしむように。恋人(ルウテト)の子守歌で微睡み安らぐように。 「君はこの世界が私の創作だって言われたらどうする?」 「ネタ出しくらいなら手伝いますよ」 突拍子もない言葉に付き合うのも悪くない。 だから声を嬉しそうに調整しながらそんなふうに返した。 「嫌じゃない?」 と少し不安そうな問いかけ。 何を不安がるというのだろう。 「少なくとも、つまらなくはなさそうですから」 俺は、こんなに期待で満たされているというのに。 自然体の言葉を返すと、ルリさんがあらたまったように声を掛けてくる。きっと作業の手を止めて、俺に真正面から向かい合っているのだろ

    4-162 オルヴァ王と十二人のシナモリアキラ0 - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム
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    nyah 2023/09/30
    青嶺瑠璃をここで引っ張り出す理由自体は分かるんだけど青嶺瑠璃が衝撃的過ぎて大きすぎてここまでの流れが正直かなりどうでもよくなっちまう感じはあったんだよな、あったというか、やっぱり、ある
  • 4-161 青嶺瑠璃 - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム

    この世界は舞台のようなものだとオルヴァは思う。 十字の瞳が示す時空の全ては積み上げられた膨大な脚で、誰も彼もが定められた流れに沿って演技を続けていく。 過去と未来とが交差する現在の一点で許されているのは即興と解釈で、演技を通して表現される役者の顔こそが個性を形作る。だから人生と言う名の演劇は全てが決まりきっているようで、意外と驚きに満ちている。 脚と演出(かみがみ)に忠実な信仰者が祈るように台詞を歌い上げたかと思えば、型破りな解釈で己の世界を披露せんと個性豊かな役者が舞台狭しと駆け回る。愛すべき我らが女神は役者も演出家もこなしてのけるし、パーンなどは積極的に客席に飛び出して劇をめちゃくちゃにしてしまう。決まりきった人生には決まりきっているが故の楽しみ方があった。あの重大な出来事はこの役者たちによってどんなふうに演じられるのだろう? この無味乾燥な日常はどんな演出によって彩られるのだろう

    4-161 青嶺瑠璃 - 幻想再帰のアリュージョニスト(最近) - カクヨム
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    nyah 2023/09/29
    アキラ・シナモリ・プロタゴニスト。Gダライアス、レイクライシス、バロック、そして青嶺瑠璃。2020年も過ぎてから今更出会った、私の最新の原点です。ここだけでも読んで。一切分からないと思うけど、読めるから。
  • 第27話 詩 - 限界チャンピオンズ!(SUMIYU) - カクヨム

    楽器──の残骸──を買った後、俺たちは飲店の連なる通りに出かけ、安い堂でもそもそ(・・・・)と飯をった。 ちょうど町に来ている魚売りから材を仕入れたらしく、魚介のメニューばかりだ。 事を口に運びながらも、皆の意識は店の壁にかかっている大型テレビの方にあった。画面の向こうではサード・ガーディアンが無限洞窟50フロアを探索する様子が映っている。生中継だ。 金鎧のパラディン、ガンディオン卿がパーティメンバーに保護の魔法をかけ、皆は慎重に通路を進んでいく。すさまじい緊張感だ。 豹人(パンテリ)の拳聖フォレックが手足を空中で滑らせ、気の乱れを読み取る。 ナーパは遠くの暗闇の中をじっと見つめている。忍者の目は、物を見るために光を必要としないのだ。 気高きエルフ、ヤグルマギクは杖の先に魔法の火を灯し、床や石壁の様子を確かめつつ歩く。 にわかにフォレックが立ち止まり、メンバーに手で合図を出す。ガ

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    nyah 2022/11/16
    わっこれは……そんなきっかけで!?
  • 第19話 3人目:オークの剣士 - 限界チャンピオンズ!(SUMIYU) - カクヨム

    ウェノラが声をかけて、パーティに加わってほしい旨を伝えると、蜥蜴人(ナガ)の男はこちらのテーブルに寄ってきた。彼はたくましい腕を伸ばして俺たちを順番に指差し、自己紹介を求めた。 「ははん、水術士と…吟遊詩人か!珍しい取り合わせだな!珍しい!」男は楽しそうに笑う。「そうだなぁ。後学のためにもお前たちの技がどんなもんか、見ておきたくもある…が、お前たちは銀(かね)稼ぎにダンジョンに潜りたいと言う。だが、俺は、今はスパウ火山に挑戦しに行くのだ。竜の娘に会い、祝福をもらいたい。そして神の火で鍛えた剣も手に入れる…。だからお前たちには残念だ!いずれ目的が合えば共に旅をしよう!」 「スパウ火山は竜神の拠地のダンジョンなんですよ。」男が行ってしまうと、ウェノラが説明した。「すごく険しい山道と洞窟で、魔物も手強いんです。わたしも行ったことないし、ネクロマンデスが2回挑んだけど2回とも途中で下山してます。

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    nyah 2022/10/31
    案外と押しの強い瞬間瞬間のある男なのである、秩序立っている感じはあるから面白いよね
  • 第15話 怒り - 限界チャンピオンズ!(SUMIYU) - カクヨム

    突然の声に振り向いて見ると、犬人(マルマリ)らしきふたりの男が俺たちを見下ろして立っていた。ひとりは白く長い体毛でウェノラと同じように尖った耳が立っており、もうひとりは黒と茶色の短く艶やかな毛皮で耳が垂れていた。ふたりともに共通するのはそのすさまじい体格で、天井を突き破るかと思うほどの上背に岩のような筋肉を誇っていた。 白い方の男は、俺には構えることすら難しそうな巨大な剣を吊っており、その腕力がうかがえる。 ウェノラはというと、彼らを見て慌てたようで「や、やあ…。」と曖昧な挨拶をして、うつむいていた。 「そう、ウェノラ…だったな、お前。」黒茶の男が小さく笑いながら言った。「まだ野垂れ死んでいなかったとは、驚きだ。」 「フン、少しはマシな術でも使えるようになったのか?」白毛の男は明らかな嘲りをこめて、ウェノラをにらみつけた。革手甲で鎧った大きな拳でゴツゴツとテーブルを叩く。 ただならぬ緊張感

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    nyah 2022/10/23
    こんなに「いい」アアーッ!は正直初めて見たぞ、これは良い作品に育ちそうだ/場の常識から遠いところにある(けど我々には近しい)美意識、倫理観、そういうものをコンフリクトさせるには転生・転移モノは最適解
  • 第3話 街頭テレビ!? - 限界チャンピオンズ!(SUMIYU) - カクヨム

    空想郷とやらのベッドで目覚め、突然現れた爺さんに不思議な話を聞かされた後、俺は数日間その建物で休んでいた。 はじめは困惑するばかりだったが、少しずつ話を聞くといろんなことが分かってきた。 まず、俺がいるこの建物は病院だった。爺さんは医者で、女の人は助手だ。 爺さんは実は人間ではなく、ノームという種族。炭のような色の肌も、子供みたいに小さな体格も、大きくて高い鼻も、みんなノームの特徴だった。 空想郷には人間がいちばん多く住むが、エルフ、ノーム、獣人、オークなどの種族もいる。稀にとても珍しい種族が異世界からやってくることもあるらしく、転生魔術師たちはそれも期待しているようだ。 だが今回やってきた俺は、記憶も特殊能力もなかったし、種族もありふれた人間だったから、魔術師たちは失望したんだろう。勝手に失望されてもいい(・・)迷惑だけど。 3、4日すると体の痛みがだいぶ治ってきたので、退院した。 「マ

    第3話 街頭テレビ!? - 限界チャンピオンズ!(SUMIYU) - カクヨム
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    nyah 2022/10/06
    ホロワーの小説がなんかおもろい事やってるので読んで
  • クトゥルフ神話とい世界・前編 - 偏差値10の俺がい世界で知恵の勇者になれたワケ(ロリバス) - カクヨム

    ――世界には、人間には触れることのできぬ古き神々が存在するという。 すでにこの世界から去りし彼らは、しかし有形無形の影響を我らの文明に与えていると言われる。 例えば……狂える詩人『アブドゥル・アルハザード』の記せし魔術書『ネクロノミコン』これは古き神の啓示を受けた彼が記した深遠なる叡智の書物であると言われている。 そして……そのような大いなる存在があるとすれば、影響はこの世界だけにとどまるものではない。 これは、ある『い世界』において、邪神が与えし影響を記した物語である…… 『王都から出て右の村から出て右の村』 かつての魔族との戦いによる傷跡も今は昔。復興が進むこの村に、一人の男が居た。 名を、山下マイゼル。この村でも1,2を争う知恵者と呼ばれる、若き俊英である。 ある日の夜。マイゼルが自室でぼんやりしていると、ふいにカーテンが風で揺れた。 (おかしいな……窓は閉めていたはずだけど) マイ

    クトゥルフ神話とい世界・前編 - 偏差値10の俺がい世界で知恵の勇者になれたワケ(ロリバス) - カクヨム
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    nyah 2022/08/27
    面白かったけどあやつもとんだ災難に巻き込まれたもんだなあ