中野の奴の朝は遅い。 俺の眠りがどうにも浅くて早朝に目が覚めてしまうから、その時間を読書に充てている、そのせいで余計に奴が寝坊に見えるのかもしれない。 昨日から読みかけだった本は注釈が多いせいでなかなか捗らず、俺は腰掛けていたベッドからゆっくり立ち上がった。スリッパを履いて、部屋の外に出る。 廊下を挟んで向こうが、ルームシェアをしている中野の部屋だ。意外にもいつも静かで、寝息ひとつ聞こえてこない。喋る声はあれだけ大きいのになと思う。そして、奴はこちらがどれほど声をかけても、ドアをノックしても、眠い時には梃子でも動かない。というよりは、眠りが深すぎて聞こえていないようだった。羨ましいとは思う。 床を鳴らさないようにしながら、キッチンに向かう。共用スペースということになってはいるが、ほぼ俺の管理だ。中野の料理はせいぜいがたまの昼に作る量の多いチャーハンくらいで、朝食は特に俺が用意しなければ何も
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