過激組織「イスラム国」が拘束していた後藤健二さんを殺害したとする映像が1日公開され、救出を目指してきた日本政府は大きな衝撃に見舞われた。イスラム国側と直接交渉する手だてがなく、ヨルダンはじめ関係国への協力要請に終始。インターネットを通じて要求を次々と突き付ける「劇場型」の犯行に翻弄(ほんろう)され続けたことは否めない。 イスラム国が20日に後藤さんと湯川遥菜さんの殺害を警告して身代金2億ドルを要求する映像を公開して以来、直接の交渉ルートを持たない日本は実質的に「当事者能力がない」(政府関係者)状況に置かれた。ヨルダン、トルコといった友好国や、有力な部族長、宗教関係者らに仲介を頼んだり、メディアを通じて対処方針を発信したりして、犯行組織の反応を待つのが精いっぱいだった。 政府がとりわけ頼りにしたのがヨルダンだった。後藤さんらが不明となったシリアの南隣に位置し、伝統的な親日国で、累計300