交響曲第1番『HIROSHIMA』や『鬼武者』など、過去18年間にわたって佐村河内守さんの作品として発表されてきた作品が、新垣隆さんというべつの作曲家の手になるものであったことが、2014年2月に発覚し、話題となった。 これと前後して、公募美術展「全日展」で福島県をはじめ少なくとも13県の知事賞の受賞者が、架空の人物だったことが判明し、これもニュースになった。 朝倉かすみの長篇小説『てらさふ』(文藝春秋)は、いま話題の「ゴーストライター」にかんする小説だ。もちろん、話題に乗っかって書かれたものではない(雑誌連載は昨年9月に完結)。 『てらさふ』(古語。見せびらかす意)では、小樽に住む女の子二人組が、「執筆担当」と「ヴィジュアル担当」という役割分担で、史上最年少の芥川賞作家になることをめざす。 小樽のはずれオタモイの食堂の娘・堂上弥子(どうのうえ やこ)は、自分がWikipediaに項目とし