映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(監督:ジョン・リー・ハンコック)が封切られたので見に行った。原題は『The Founder(創業者)』で、マクドナルドを創設したレイ・クロック(1902―84年)が展開した創業物語である。 映画の宣伝文句に「彼はどのようにして巨大企業を築き上げていったのか? この夏、誰もが知っているマクドナルドの、誰も知らない誕生のウラが暴かれる!」とあったのだが、私は知っていた。というのは、私は87年に出版された『ビッグマック マクドナルドに学ぶ100億ドルビジネスのノウハウ』(M.ボアーズ、S.チェーン/啓学出版)の翻訳を担当したからだ。原書は76年に出版され、著者は2人のジャーナリストである。 レイ・クロックという経営者は毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい人で、というよりあまりに露骨で強欲な事業拡張ぶりのために、存命中から批判を受けていた。ボアーズとチェ