三品純(取材・文) 月刊同和と在日2011年3月号 「大阪市の同和奨学金返還業務の職員が激務でダウンしている」「訪問先で激しく罵倒され返還を拒否された」「職員のスクラップ工場と化している!」 こんな情報が当編集部に寄せられたのが先月のこと。情報提供者の話を聞くと、かつての〝解放奨学生〟、そしてその保護者にオロオロする職員、こんな光景が思い浮かんでしまう。ある意味、同和事業の最大のひずみとも言えるこの同和奨学金。奨学金と言いつつも地域によっては実質的な給付金制度の場合もあり、また返還をめぐって各地域でトラブルになることも少なくない。 実は「部落民」とは誰かという問題を検証する際に、「同和奨学金」は一つの重要なキーワードであり、解放運動とは何であったかを考える上でも欠かせないものだ。 同和奨学金は本人や親の希望で積極的にというよりも、教師や地元解放同盟支部からすすめられて取得するということが圧