タツノオトシゴは保護色と直立姿勢を生かして海草の茂みに紛れ込む優れた擬態生物であるが、その特異な性質がいつどのようにして身に付いたのかはこれまで謎とされてきた。しかし今回、新たな研究によってその謎がようやく解明されたという。 タツノオトシゴなどの小さくてもろい骨は堆積物に埋もれる前に壊れてしまうため、化石として保存されることが少ない。このため、タツノオトシゴの進化の過程を確認できる証拠はほとんど残されていない。 そこで、オーストラリアのシドニーにあるマコーリー大学のピーター・テスク(Peter Teske)氏とルチアーノ・ベヘレガレイ(Luciano Beheregaray)氏は、最も近縁の現生生物であるピグミーパイプホースを利用し、両者の遺伝子を比較することでタツノオトシゴの進化史を調べることにした。 調査の結果、タツノオトシゴとパイプホースは約2500万年前に分岐したことが突き止められ