この写真はインド洋中央海嶺で行われた有人潜水船しんかい6500(海洋研究開発機構)の第659潜航(YK01-15航海)において撮影された.ロドリゲス三重点の北方約30kmに位置する「かいれいフィールド」(南緯25°19.23′,東経70°02.42′,水深約2450m)は,インド洋で初めて発見された熱水噴出域で,熱水中の水素濃度が著しく高いことが特徴である(Takai et al., 2004).写真の熱水噴出孔は,カーリーチムニーと呼ばれるブラックスモーカーで,噴出する熱水は360℃を超える.熱水が海水と混ざり黒色で細粒の金属硫化物を多量に析出させている.写真左下に写っている網で覆われた球状の物体は深海調査用の目印で,直径は約5cmである.この「かいれいフィールド」の熱水システム及びその熱水に依存した生態系の研究成果が,「海底下の大河」モデル着想の大きなきっかけとなった. (解説:渡部裕