テクノロジーが文学にいかなる影響を与えたか? を検証するという著作。 電子機器が発展した今でこそテクノロジーと文学という繋がりは容易に連想できるものの、これが書かれた1987においてはなかなか受け入れられなかったのではないかと予想される。今になって翻訳されたのもむべなるかなというものだ。 エリオットは観察する 一見するとなんということはないエリオットの詩の中に、都市化されてゆくロンドンのテクノロジー、メディアの変遷が見て取れるという指摘は面白い。エリオットの観察眼もさることながら、それを発見するケナーの手腕に驚かされる。 パウンドはタイプを打つ 詩を記述する上で、タイプライターというハードウェアと辞書などのソフトウェアが、ある種の集合知としてパウンドにひとつの様式を与えたという論。システムはいつでも、意識的に、あるいは無意識的に人々に影響を与える。 ジョイスは書写する フィネガンズ・ウェイ