広告会社の視点から、日本のアートと企業・経済・マーケティングの関係性やこれからについて考えていく連載。第1回ではアートが持つポテンシャルについて、マーケティングを専門領域とする東京理科大・大西浩氏と電通・上原拓真氏が事例を交えて紹介しました。今回は日本のアート界の最前線で活躍するNPO、アーツイニシアティヴトウキョウ(AIT)の塩見有子氏、電通でアートマーケティングに関するプロジェクト「美術回路」を運営する若林宏保氏・上原氏が座談会を行いました。 ※第1回「アートはマーケティングできるのか」 誰もが現代アートにアクセスできる場をつくったAIT 上原:今や国内外に強いコネクションを有しているAITは2000年代初頭から活動を始め、日本のアート市場の成熟と共に歩んでいる組織だと思います。まずは、塩見さんとAITがこれまでどのような活動をしてきたか教えてください。 塩見:AITは2001年にキュ