右から左へ、右から左へ受け流す……これ、お笑いのネタの話ではない。セキュリティ情報に対する最近のメディアの態度のことである。 人間には「慣れ」というものがある。何らかの外界の出来事に対し、いちいちすべての要素を考慮して判断していては時間が掛かりすぎる。現代のように、山のような情報に取り囲まれている時代ならばなおさらだ。これをうまく処理するために、人間には「慣れ」という機構が備わっている。さまざまな情報を分類し、定型的に処理することで、少ない負荷と時間でさまざまな状況に対応できるわけだ。自然の英知に感謝、である。 ただ、この「慣れ」が、ときにはやっかいな事態を引き起こす。 イソップ物語の「オオカミ少年」の話が1つの例だ。出し手が適切な情報を提供せず、むやみやたらと危険を煽るだけでは、受け手はその事態に慣れてしまうだろう。たとえ本当に危険な事態を警告しようとも「ああ、またその話か」と真剣には受